Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は骨髄細胞中に存在する未分化間葉系幹細胞に対してLeukemia Inhibitory Factor (LIF) を作用させると未分化状態を維持するかを調べることを目的とした。マウスの大腿骨と脛骨から採取した骨髄細胞を培養し浮遊細胞を除去し得られた付着細胞に対してLIFを作用させて、フローサイトメータを用いて幹細胞マーカーであるCD106、CD166、CD29、CD105 (SH)、CD73 (SH3/4)、CD44、CD90 (Thy-1)、CD71およびStro-1の発現について解析したところ、CD29、CD105 (SH)、CD71の発現上昇が認められた。この結果から、LIFは骨髄細胞中に存在する未分化間葉系幹細胞を未分化状態に維持している可能性が示唆された。次に、骨髄細胞から得られた未分化間葉系幹細胞を含む付着細胞にLIFを作用させたのち、細胞からmRNAを回収し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。このcDNAを用いてリアルタイムPCRを行い、幹細胞マーカーであるCD106、CD166、CD29、CD105 (SH)、CD73 (SH3/4)、CD44、CD90 (Thy-1)、CD71およびStro-1の発現量の変化について解析したところ、CD29、CD105 (SH)、CD71の発現上昇が認められた。このことから、フローサイトメータを用いた実験結果ではタンパクレベルで幹細胞マーカーの発現上昇を確認でき、リアルタイムPCRを用いた実験結果からは遺伝子レベルでの幹細胞マーカーの発現上昇が示唆された。このことからLIFは骨髄細胞に存在する未分化間葉系幹細胞の未分化維持機構に強く関与していることがわかった。