ゲノム資源を用いた糖尿病発症遺伝素因としてのERストレス関連分子の探求
Project/Area Number |
16012244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
谷澤 幸生 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00217142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野見山 淳 山口大学, 医学部, 助手 (70363116)
田部 勝也 山口大学, 医学部附属病院, 医員
植田 浩平 山口大学, 保健管理センター, 講師 (50325221)
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 / 小胞体ストレス / 遺伝素因 / Wolfram症候群 |
Research Abstract |
WFS1蛋白は膵ではランゲルハンス氏島、主にβ細胞とδ細胞に特異的に発現し、α細胞、PP細胞には発現されない。WFS1蛋白は細胞内では小胞体膜に存在する。ヒト線維芽細胞をthapsigarginやtunicamycinで処理することにより小胞体ストレスを誘導するとWFS1蛋白の発現亢進が認められた。また、マウス膵β細胞株であるMIN6細胞でも同様に、これらの薬剤処理によりWFS1 mRNA及び蛋白の発現誘導が観察された。Akita mouseはInsulin-2遺伝子のC96Y変異により膵β細胞数が減少し、糖尿病を発症する。C96Y変異によりイソスリンの分子内disulfide bondの形成が阻害されるため、異常なインスリン分子が細胞内に蓄積し、小胞体ストレスを惹起することがβ細胞障害の一因であると考えられている。この変異をホモ接合体でも持つins2^<96Y/Y>膵島腫瘍細胞ではBipの高発現が認められ、小胞体ストレスの存在が示唆された。この細胞においてもWFS1の発現は対象とした細胞に比較して増加していた。ヒトWFS1遺伝子の転写開始点から上流約3kbのプロモーター領域をluciferase遺伝子の上流に配置し、reporter遺伝子を作製した。このリポーターを含むプラスミドをMIN6細胞に導入した後、thapsigarginやtunicamycinで処理するとリポーター活性は有意に増加した。また、このプラスミドをins2^<96Y/Y>膵島腫瘍細胞および対照としたins2^<wild/wild>細胞にリポフェクション法でそれぞれ導入し、luciferase活性を測定すると、ins2遺伝子C96Yホモ変異株におけるluciferase活性は野生株に比べて約2倍に増加していた。これらのことは、WFS1は小胞体ストレスにより転写レベルで発現誘導されることを示し、小胞体ストレスに対する細胞応答に関与する可能性を示唆する。我々がポジショナルクローニングで同定したWFS1の機能は、小胞体ストレス応答に関連することが強く示唆される。Wolfram症候群での糖尿病の発症はβ細胞での小胞体ストレス応答の異常に起因する可能性が考えられ、より一般の2型糖尿病で類似の機序が発症素因として働く可能性について検討する必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)