Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
トランストランスレーションは、翻訳が中断したmRNAからtmRNAへとリボソームが翻訳を切替えることで二つの分断された情報から一本のキメラペプチドを作り出す、変則的翻訳である。本研究ではまず、トランストランスレーション産物を特異的に検出、単離するシステムを開発した。この方法を用いてまず、枯草菌のtmRNAが仲介するトランストランスレーションの標的タンパク質が通常の温度(37℃)と高温(50℃)では大きく異なること、また全体として高温のときほど、トランストランスレーションが盛んに起こっていることを明らかにした。次にN末端アミノ酸配列分析により、それぞれの温度における標的タンパク質のうちのいくつかを同定した。それらの中にはストレス応答遺伝子産物(PerR)、カタボライト抑制を受ける遺伝子産物(TreP)など興味深いものが含まれていた。TrePのトランストランスレーション産物は、プロテアーゼで消化した後、MALDI TOF MASを用いてアミノ酸配列を解析し、TrePからタグペプチドへの切り替え位置を調べた。その結果、切り替えはTrePの内部に存在するCre配列(カタボライト抑制に関わるリプレッサータンパク質CcpAの認識配列)のすぐ上流から起こっていることが明らかになった。CcpAの欠損株を作成したところ、そこではTrePのトランストランスレーション産物も消失していた。CcpA欠損株においては、TreP以外のトランストランスレーション産物の多くが消失していた。以上のように、トランストランスレーション反応がCcpAを介したカタボライト抑制全般に関与する可能性が示唆された。現在、並行してPerRのトランストランスレーション産物の解析を行っているところである。一方、大腸菌のトランストランスレーションの標的タンパク質についてもそのいくつかを明らかにすることができた。その中で、現在MetEおよびYfiAについてトランストランスレーション反応産物の詳しい解析を行っているところである。MetEに関しては、coding領域の途中数カ所において、YfiAに関してはC末端ごく近傍において、トランストランスレーションが起こっているというデータを得ている。
All 2004
All Journal Article (4 results)
細胞における蛋白質の一生(蛋白質核酸酵素増刊) 49(7)
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