Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,転移性遺伝因子と考えられているレトロンとインテグロンが病原細菌のゲノム進化にどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目的としている。流行性コレラの原因となるVibrio cholerae O1/O139株(コレラ菌)には普遍的にレトロンが存在しているのに対して,コレラを引き起こさないnon-O1/non-O139株では一部の例外を除いてレトロンが存在しておらず,レトロン領域にゲノム構造の多様性が認められた。さらに例外的にnon-O1/non-O139株で発見されたレトロンでは,レトロン領域の前後で数多くの変異が見つかっており,ゲノムのレトロン領域の多様性が明らかになった。 一方,V.cholerae,病原性大腸菌(enterotoxigenic Escherlchia coli ETEC),腸管侵入性大腸菌(enteroinvasive E.coil, EIEC), Salmonellaなどから数多くのインテグロンを検出し,インテグロン内の遺伝子カセット(薬剤耐性遺伝子)の構造解析を行った。その結果,これまでに知られていなかった新たな遺伝子を複数発見し,同じ細菌種内でもインテグロンによるゲノム構造の違いを示すことができた。特に,サルモネラでは,新たな遺伝子構成のクラス2インテグロンを発見した。さらに,これまでV.choleraeにおいてのみ存在が報告されていた接合伝達性トランスポゾンの一種であるSXT elementをV.fluvialisで発見し,詳しい解析を行った。SXT elementには複数の薬剤耐性遺伝子が含まれており,細菌の多剤耐性の伝播に関与していると考えられており,V.cholerae以外の多種の細菌で発見された意義は大きい。
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