シンビオバクテリウムのゲノム解析による微生物間共生を支える分子基盤の解明
Project/Area Number |
16013245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 賢志 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00277401)
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
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Keywords | Symbiobacterium themohilum / microbial commensalism / growth factor / Bacillus / genome / carobonic anhydrase / growth inhibitor / uncultivable microorganism |
Research Abstract |
STの全ゲノム配列(3.57Mb,68.7%G+C)の解読をデータベース構築を含め完了した。アリマキ細胞内共生細菌のゲノムに知られる様な特定代謝系の大幅な脱落が認められなかったことは、STが特定の栄養を要求しているのではなく、複数の環境条件が整うことを必要としているというこれまでの観察と一致した。また、高G+C含量生物において初めての内生胞子形成遺伝子群の存在や、原核生物に事例の少ないGroup II intronが25箇所に見つかるなど、細胞生物学的ならびに遺伝学的に全く新しい知見を得た。このゲノム解読と並行してSTの生理に関する研究も鋭意進め、本菌の増殖を支持する具体的な生化学的要因(ペプチド/K^+イオン/炭酸ガス)を明らかにした。逆に、高倍率の透析培養によってSTが顕著な単独増殖を示すことを発見し、この菌が自己増殖に阻害的な代謝産物を生成し、それを除去することもこの菌の増殖に重要であることを明確にした。以上から、正負両面における要因がSTの増殖に関与することが明らかになり、それら要因がSTの生理に及ぼす影響を遺伝的に検証する基礎が整った。上記の結果から、STの要求因子で最も決定的な因子は炭酸ガスであることが明らかになり、それがSTゲノムのカルボニックアンヒドラーゼ(CA)の欠損に帰因することが強く示唆された。そこで、それをE.coliのCA遺伝子(yadF)欠損株を用いた再構成実験により実証した。E.coli yadF変異株は通常大気下では増殖せず、炭酸ガスの通気により増殖することが知られるが、枯草菌との共培養によっても増殖を開始した。この事実は、高濃度の炭酸ガスが外部から獲得できる共生的環境においてはCAは必須ではないこと、逆にCAの欠損が共生依存の一つの原因になることを示しており、微生物の難培養性の問題に重要なヒントを与えるものと考えられた。
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Report
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Research Products
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