アルツハイマー病脳低密度膜画分におけるアミロイドβ蛋白と過酸化脂質の相関について
Project/Area Number |
16015220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
玉岡 晃 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50192183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 昭英 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (40301080)
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / BACE1 / 低密度膜画分 / 酸化ストレス / pro-oxidant / anti-oxidant |
Research Abstract |
アルツハイマー病脳においては酸化的障害が認められ、しかもそれがAβの蓄積に先行して沈着することが知られている。また、酸化ストレスによって、細胞内Aβ、特にAβ42が増加するという知見やAβがフリーラジカルの産生に関与していることが明らかにされている。一方、AD脳の低密度膜画分(LDM)には、AβのみでなくAPP、BACE1やプレセニリンが濃縮されて存在し、酸化ストレスによってBACE1が増加することが報告されている。 本研究では、AD脳やそのLDM画分におけるAβ、BACE1、酸化ストレスの相関関係を解析することを目的にした。BACE1に関しては、ポリクローナル抗体を作成し、免疫組織化学やウェスタンブロットを用いて解析した。酸化ストレスについては、過酸化脂質を測定し、Aβとの相関を解析するとともに、全脳とLDM画分での比較検討を行った。BACE1のN末端に対する抗体もC末端に対する抗体もポジティブコントロールの66KのBACE1を認識しており、脳ではBACE1はSDS抽出画分に回収されていた。免疫組織化学ではBACE1とMAP2の局在が一致し、GFAPとは一致しなかったことより、BACE1の主な産生細胞は神経細胞であることがわかった。MAP2、BACE1、GFAPのウェスタンブロットを比較し、これらを定量すると、脳全体では神経細胞の脱落のために、BACE1はADでは対照より低下していたが、神経細胞当たりで換算すると、ADでは対照よりも有意に増加していた。酸化ストレスでBACE1が増加するという知見がみられることから、LDM画分での酸化ストレスを検討した。まず脳全体のAβ分子種と過酸化脂質との相関を解析したが、過酸化脂質は不溶性Aβ42とのみ正の相関を示した。全脳とLDM画分を比較すると、脳全体ではADが対照より過酸化脂質の増加傾向がみられたが、LDM画分では予想に反して、ADで有意に減少していた。 Aβと酸化ストレスの間には金属が介在する可能性が考えられてきたが、AβはN末端よりで金属と結合し、C末端より35位のメチオニンにおいて金属還元作用を有することが知られている。金属還元作用はAβが金属を介して重合してはじめて発揮されることが知られている。即ち、Aβは重合状態などの条件下では、pro-oxidantとして、即ち酸化促進的に働くことが知られている一方で、最近、生理的な低濃度では抗酸化的に作用することが報告されてきた。つまりある条件下ではAβの金属をキレートする作用および還元する作用が働き、酸化を促進するが、髄液などの生理的条件下ではキレート作用が主に作用し、酸化抑制的に作用するというものである。本研究で明らかとなった、不溶性Aβ42と過酸化脂質の正の相関やLDM画分の酸化ストレスの抑制は、それぞれ重合Aβのpro-oxidant作用、非重合Aβのanti-oxidant作用に由来する可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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