Budget Amount *help |
¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
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Research Abstract |
下オリーブ核から小脳への登上線維を反復刺激すると,AMPA型グルタミン酸受容体の活性化を介して籠細胞-プルキンエ細胞間のGABA作動性シナプス伝達が短時間抑制される(即ち,脱抑制)。この異種シナプス間抑制を仲介するAMPA受容体の局在を検討するため,パッチクランプ法を用いてグリア細胞と籠細胞に発現するAMPA受容体の性質を比較した。グリア細胞のAMPA受容体チャネルは,内向き整流性と高いカルシウム透過性を示すと共に,philanthotoxin-433(PhTX:カルシウム透過型AMPA受容体特異的阻害毒)で強く阻害された。一方,籠細胞のAMPAチャネルは,カルシウム透過性を示さず,PhTXで阻害されなかった。PhTXがグリア細胞のAMPA受容体を特異的に阻害する性質を利用して,登上線維伝達物質の作用過程を検討した。登上線維刺激に伴う脱抑制は,PhTXで全く影響されなかった。また,PhTXは,AMPAを小脳スライスに灌流投与して誘発したGABAシナプス伝達抑制に対しても無効であった。脱抑制は籠細胞のカルシウム非透過型AMPA受容体で仲介されていることが示唆された。 次に,脱抑制に関わるAMPA受容体の局在を検索するため,サブユニット特異的抵抗-AMPA受容体抗体を用いて小脳切片を免疫蛍光染色した。共焦点レーザー顕微鏡による観察から,GluR2/GluR3サブユニットとGAD65(GABAニューロン終末の標識分子)およびsynaptophysin(前シナプス要素の標識分子)は,プルキンエ細胞の近位樹状突起や軸索起始部の周辺に点状に共存することが示された。こうした染色像は,籠細胞の神経終末にGluR2/GluR3サブユニットが発現していることを強く示唆する。以上のような結果から,登上線維と籠細胞の間で見られる異種シナプス抑制は,籠細胞終末に局在するカルシウム非透過型AMPA受容体(GluR2/GluR3 heteromer)で仲介されていると結論した。
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