Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
細胞の脂質二重膜は、膜蛋白の単純な二次元の溶媒ではなく、様々な脂質ドメインを構成することにより多彩な機能を発揮する複雑な構造体である。申請者らは、これまでにインフルエンザウイルスの糖蛋白は、それら脂質ドメインへの親和性を持つことによりウイルス粒子中に効率的に取り込まれる仕組みをもち、ウイルスが高い感染能を獲得するのに貢献していることを明らかにした。本研究では、さらにウイルス膜糖蛋白の脂肪酸修飾の意義を検討するとともに、インフルエンザウイルスに加えて麻疹ウイルスについて解析を行ない以下の点を明らかにした。1)インフルエンザウイルスHA蛋白の脂肪酸修飾は、インフルエンザウイルスの粒子形成に必要である。インフルエンザウイルスのHA蛋白には、3箇所の脂肪酸修飾部位があり、それら脂肪酸修飾が、HA蛋白の脂質ドメインへの結合およびインフルエンザウイルスの粒子形成に必要であることを証明した。2)麻疹ウイルスのF蛋白細胞膜貫通領城にみられる脂肪酸修飾は、ウイルス複製に必須ではない。われわれは、従来の系よりも数百倍効率が優れた麻疹ウイルスの遺伝子操作方法を開発し、麻疹ウイルスのF膜蛋白が、脂質ドメイン領域と接する領域(膜貫通領域の細胞外膜側)および、主要な脂肪酸修飾部位について変異体を作製し、解析を行った。インフルエンザウイルスのHA蛋白の場合とは対照的に、それらの領域に変異を持ったF蛋白は、細胞膜への親和性に顕著な変化はなく、ウイルスは、依然として高い増殖性を維持していた。すなわち、麻疹ウイルスのF膜蛋白は、インフルエンザウイルスのHAとは、脂質ドメインとの相互作用において異なる性質を持つと考えられた。
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Structure-based study of virus replication (in press)
微生物感染学-新しい感染の科学- (印刷中)
130006581889