Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本研究では、3Dタイムラプス顕微鏡を用い、マウス胚を培養して全ての細胞の振る舞いに関する連続的な情報を収得し、時間軸を自由に行き来して解析することにより、まだ解明されていないマウス初期胚の中で軸を決めるのに関わる最初のイベントを抽出、解明することを目的とした。本年度は、胚盤胞に至るまでの時期に関して詳細な解析を進めた。胚盤胞には、Trophectoderm(TE細胞)と内部細胞塊(ICM)の細胞の2種類の細胞がみられる。また、胚盤胞の中でICMは偏って存在しており、ICMの存在する極とその反対極を結ぶEmbryonic-Abembryonic軸(E-Ab軸)を見いだすことができる。このE-Ab軸は将来の体軸とどのような関係にあるかは依然不明である。どのようなメカニズムによって胚盤胞の軸が決められるか明らかにすることを本年度の目標とした。核をGFPで標識したマウス胚を胚盤胞の時期まで培養し、タイムラプス撮影を行った。得られた像を3次元再構築し、胚ごとに時間的に連続なムービー画像を作製した。核の位置をトレースした画像情報から、細胞の分裂の様式、細胞系譜を比較的容易に読み出す系が開発できた。胚盤胞までの時期について66胚について細胞系譜解析を行った。分裂のパターンや、細胞の配置などについて胚ごとに比較を行ったところ、明確な法則性はみられず、細胞がおかれた位置に従って比較的自由にその運命が決められることが示唆された。マウス胚における胚盤胞の形成では、受精卵の細胞質内に存在する偏りが細胞の分化様式や、胚の軸の形成に関わるのではなく、胚を取り巻く環境として歪んだ形の透明帯が重要であり、その歪んだ形に沿うように細胞の配置や胚軸の形成が行われると考えられる。つまり、胚の細胞質に存在する因子ではなく、透明帯が「プレパターン」を規定しているととらえることができる。
All 2006 2005 2004
All Journal Article (4 results)
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