初期胚の神経組織形成および体節形成過程における転写制御因子SIP1の機能解析
Project/Area Number |
16027230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 雄二郎 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (30181069)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | SIP1 / TGFβファミリーシグナル / 体節 / ノックアウトマウス / マウス胚発生 / 神経 / Smad / BMP |
Research Abstract |
我々のグループによって作製されたδEF1ノックアウトマウス(以下、KOマウスと略す)においては、四肢、肋骨、頭蓋骨の骨形成の異常、特にその四肢骨の表現型はBMPファミリーの一つである、GDF5の欠損マウスと極めて類似していたこと等から、BMPシグナル系との関連が示唆されていた。最近のδEF1に構造と機能が類似したタンパク質として、SIP1が単離されてきた。SIP1は、BMPやアクチビン等を含むTGF-βシグナル系の細胞内シグナル伝達因子Smadと結合する因子として単離された。SIP1はその標的配列がδEF1と同じであること、胚発生過程における発現がδEF1と大部分重なっていることから、δEF1 KOマウスの表現型もSIP1の機能的補償によって緩和されている部分が多くあると予想される。我々はこのδEF1/SIP1ファミリー全体としての機能を知る目的で、SIP1 KOマウスも作製した。その表現型の形態的特徴は(1)turningしない、(2)神経管が閉じない、(3)体節が7〜8体節以上形成されず、形成された体節も形が小さく不規則である。といったものであり、神経組織形成、体節形成への関与を示唆するものであった。 上述したように、δEF1とSIP1はタンパクとしての構造やその活性が類似し、且つ標的配列が同じであることを考えると、それぞれのKOマウスにおいてはお互いが機能を補償し合っている可能性が高いと思われた。そこで、胚発生過程におけるδEF1とSIP1の機能の個性と共通性、およびそれらのTGF-βシグナル系との関連性について、まずδEF1/SIP1二重ホモ変異マウスを作製しその表現型を観察することを試みた。その結果、δEF1/SIP1二重ホモ変異マウスでは、SIP1ホモ変異マウスと同様に、ほぼ胎生8.5日まで発生し、体節や神経管等の表現型をともなった様相を示した。これは初期胚発生においてはSIP1がより重要な役割を担っていることを示している。しかしながら、δEF1/SIP1二重ホモ変異胚では、それぞれの変異胚と較べると、神経板の形態が異常であり、そこでのSox2の発現がより顕著に減少していた。このことは、δEF1がこの時期の神経板においてSIP1と強調してSox2の発現を制御していることを示唆している。一方、胎生12.5日のδEF1ホモ;SIP1ヘテロ変異マウスにおいては上顎突起や鼻中隔の融合不全が観察された。これはSIP1ヘテロ変異のみでは全く顔面形成は正常であること、δEF1ホモ変異に観察された二次口蓋裂が起こる時期より早く、極めて重篤な顔面形成の阻害を示した強調された表現型になっていることから、この組織においてδEF1とSIP1がそれぞれ協調的に働いていることが明らかとなった。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)