Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
我々は、ES細胞から膵幹細胞を分化誘導するためには正常発生と同様な過程を経ることが重要であると考え、膵幹細胞マーカーであるpdx1の発現を指標にしている。そのためには、分化誘導に必要なシグナル源の探索から始めた。その結果、マウスES細胞を膵臓へ分化誘導するためには、マウス胎児膵臓原基との共培養が有効であることをこれまでに見出している(Shiraki et al. 2005)。しかしながら、胎児由来の組織はその性質上、誘導源として大量な材料を手に入れるのは困難である。そのため、胎児膵臓原基の代替となる誘導活性のある細胞を探索する必要がある。一方、自然な発生過程において、内胚葉の細胞が領域特異性を獲得するためには、中胚葉からのシグナルを必要とする現象が報告されている(Wells and Melton,2001)。様々な検討の結果、膵臓原基の代替となる誘導活性の高い培養細胞株を支持細胞として用いる方法を確立した。この方法では、外胚葉および中胚葉の細胞は分化誘導されずに、内胚葉の細胞が特異的に効率よく誘導されている。膵前駆細胞であるPdx1陽性細胞が10%程度誘導された。また、分化誘導後4日目には内胚葉マーカーであるFoxA2が80%のコロニーで検出されることより、この分化誘導の方法によって得られる分化細胞は内胚葉系譜の細胞が大きな割合を占めていると考えられた。更にpdx-1/GFPマウスからES細胞を樹立し、上記の分化誘導法と組み合わせることにより、各種因子が膵前駆細胞への分化に与える影響について経時的かつ簡便に観察することが可能となった。我々が開発した分化方法は、ES細胞から内胚葉を選択的かつ簡便に分化誘導できる全く新しい方法である。これまで十分な分化誘導方法がなく研究が困難であったES細胞から内胚葉由来臓器への分化を研究する上で強力な手法となると考える。
All 2005
All Journal Article (6 results)
Genes Cells 10
Pages: 503-516
Gastroenterology 129
Pages: 696-705
J.Neuroscience 25
Pages: 7377-7384
Biochem. Biophys. Res. Comm. 327
Pages: 1170-1178
Genes to Cells (in press)
Biochem.Biophys.Res.Comm. 327