Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
東アジア地域では、酸性物質などの汚染物質の長距離輸送が重要な環境問題の1つとなっている。これらの長距離輸送過程には、降水による湿性沈着が強い影響を与える。日本は周囲を海に囲まれているため、国内の酸性物質の沈着量を把握するためには、海上での降水の影響を把握する必要がある。しかし海上の気象観測データは乏しく、また複雑な数値計算による予測は可能であるが、長期間にわたる酸性物質輸送の予測を行うためには必ずしも有効とは言えない。本研究はその点に着目し、海上での降水量を簡便に予測する手法を開発し、酸性物質等の長距離輸送の把握に役立てることを目的としている。平成17年度には、16年度に開発した確率モデルを組み込んだ長距離輸送モデルを用いて種々の試算を行い、実測値との比較によって予測値の妥当性を確認した。次いでもう1つの予測技術上の課題であるグリッドサイズ以下の降水量分布の影響評価に研究対象を拡張した。予測モデルは通常は空間をグリッドに区画して計算するため、グリッドサイズ以下の現象は表現できないのに対して、降水は非常に局所性が高いので、予測誤差の原因となる可能性がある。そこでレーダーアメダスデータを用いて、種々の統計的処理を行い、誤差レベルを見積もった。その結果、条件によっては酸性物質の沈着量予測値に対してファクター2あるいはそれ以上の誤差を与えることが明らかとなった。
All 2005
All Journal Article (1 results)
Proceedings of International Congress of Modeling and Simulation (MODSIM05), Melbourne, Australia,
Pages: 1848-1852