Budget Amount *help |
¥4,400,000 (Direct Cost: ¥4,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
リン架橋[1.1]フェロセノファンは,キレートとして有用であることが判ったが,実用的な観点からは,リン上を種々の置換基に変えられることも重要な点である。そこで,種々の誘導体の原料として有用な、リン上にClをもつものの合成を検討した。 まず,フェロセンの上下のCp環にP(NEt_2)_2を導入し次いでそれぞれのアミノ基を1つずつクロル化した。このようにして得たものにたいして,まずCpをリンに結合させ次いでFe^<2+>を導入して2番目のフェロセンユニットを構築した。得られた[1.1]フェロセノファンは各種NMRで同定し,anti体についてはX線解析でも構造を確認した。生成物のantiとsynの比は5:4であった。次に,リン上のアミノ基をクロル化するためにHClとの反応を行った。この反応は,出発にsynとantiの混合物を用いたにもかかわらず,単一の異性体を与えた。この生成物の^<13>C{^1H}NMRを測定したところ,Cp環のipso-Cがtripletとして観測された。これは,P同士が空間をとおして強くカップリングし,見かけ上ipsoCが2つのPと等価にカップリングした結果である。このことは,生成物がsyn体である明確な証拠である。通常,antiからsynへの異性化には加熱を必要とするが,クロロホスフィン類に関しては,HClと反応して5配位を経由することで室温でも速やかに立体反転を起こすことが知られている。従って,合成段階で系中に共存するHClによって,より安定なsyn体への異性化が併発したものと解釈できる。 このようにして得られた,synのクロロホスフィン体に対して,アリール化,アルキル化,およびアミノ化を試みたところ,期待どおりsynの構造を保持したまま進行し,一連の置換基を有するリン架橋[1.1]フェロセノファンを合成することが出来た。
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