Project/Area Number |
16038207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷口 弘三 埼玉大学, 理学部, 助教授 (50323374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一彦 埼玉大学, 理学部, 助教授 (60225927)
毛利 信男 埼玉大学, 理学部, 助教授 (40000848)
小坂 昌史 埼玉大学, 理学部, 助教授 (20302507)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 超高圧 / 有機伝導体 / 超伝導 / 輸送現象 |
Research Abstract |
本年度の成果として、まず、常圧有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)_4Hg_<2.79>Cl_8におけるリエントラント超伝導の観測が挙げられる。この物質はHgの不整合超格子を持つことから、BEDT-TTF層においては、バンド充填率が、ダイマー系物質の1/2充填率からわずかにずれた組成を持つことが期待される。実際バンド計算では、電子相間の効果が強く絶縁体になるべきバンドパラメーターが得られているが、実際には金属であり、低圧印加下の低温で超伝導を示す。したがって、この物質はMott絶縁体へのドーピングにより超伝導が出現しているとみなせる系である。今回この物質の電気抵抗を圧力下におきて詳細に測定したところ、超伝導が一旦消失(もしくは極めて低い転移温度を持つようになる)し、再び超伝導が出現するという超伝導のリエントラセト現象が観測された。ドープ型有機超伝導体としては銅酸化物超伝導体が挙げられるが、有機物質におけるドープ型超伝導体では、バンド幅を酸化物とは比べ物にならないスケールで制御できるという利点を持つため、バンド充填率-バンド幅二次元パラメーター平面上でこれまで研究できなかった領域の研究が可能になると期待される。この意味で、今回の発見は、強相関物質の研究においては重要な知見である。 以上のような超伝導体の圧力下物性研究と平行して、本年度は、超高圧下物性探索においても成果が上がっている。近年、我々が、転移温度世界記録の超伝導を観測したβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2と類似物質であるβ'-(BEDT-TTF)_2AuCl_2をキュービックアンビル型圧力発生装置を用いて超高圧下物性研究を行った結果、超高圧下では、分子間の相互作用よりもアニオンと分子の相互作用が重要であることが判明した。この成果は、超高圧下での構造変化を予測する上で重要な情報であり、今後の研究において重要な指針となる。この論文はJPSJ注目論文に選出された。
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