窒素を導入したTTP系ドナーによる新しい構造と物性の探索
Project/Area Number |
16038212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 伸也 東京大学, 物性研究所, 助手 (20361660)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 含窒素有機伝導体 / 金属配位 / π-d相互作用 / CH...N相互作用 / モット絶縁体 / TTP系ドナー |
Research Abstract |
金属配位に用いるドナー分子として、ピラジン環が縮環したPyra-TTFとBP-TTFの検討を行なった。金属錯体[CuCl_2(BP-TTF)](1)、[CuCl_2(Pyra-TTF)](2)および(Pyra-TTF)_2[Cu_<2.94>Cl_4(Pyra-TTF)](3)は拡散法により作成した。 1、2、3は黒色結晶であった。構造解析より、2中の銅イオンは平面四配位をとっており、ドナー分子とb軸に沿ってジグザク鎖を形成し、β型の積層カラムを形成していることがわかった。3は平面四配位構造で、銅イオンとドナー分子がb軸に沿って直鎖を形成していた。5は150Kにおいて配位型ドナーと非配位型ドナーの二種類が存在していた。 1は絶縁体であったが2と3は半導体であった。ESR測定より1のCuは2価であり、ドナー分子がほぼ中性であるため絶縁体であると考えられる。2もほぼ全てのCuが2価である結果が得られたが結晶によって電荷移動が起こっている可能性も示唆された。5は室温から4Kでドナー由来のものと思われるシグナルのみ観測された。これは非配位のドナー分子から金属に電子が移動した結果生じたドナーのp-πスピンに由来するものと考えられ、銅の価数は1価であると考えられる。 続いて縮環系とは対照的に、配座位となりうる置換基を導入した系の構築を目的とし、オキシムを置換したTTF系伝導体、oxime-TTFの合成と銅錯体作成について検討を行なった。合成は既知だが生成物を単離したのは初めてである。臭化銅テトラブチルアンモニウムとの錯体作成を拡散法によって行なったところ、黒色のブロック状結晶が得られた。構造解析の結果、(oxime-TTF)_4Cu_4Br_8の組成であり、オキシムの窒素部位に金属配位は見られなかったが臭化銅が四量体を形成するなど興味深い構造をとっていることが判明した。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)