屈曲した分子骨格を有する新規なπ拡張型ドナーを用いた有機磁性伝導体の構築
Project/Area Number |
16038222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤原 秀紀 大阪府立大学, 理学系研究科, 助手 (70290898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 豊成 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (30093256)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 有機伝導体 / 電子供与体 / 磁性体 / カチオンラジカル塩 / 構造有機化学 / 結晶構造 / 安定有機ラジカル |
Research Abstract |
我々はこれまで、屈曲した分子骨格を有するドナー分子を用いた磁性伝導体の開発を行っている。セレン原子の導入により、得られた塩の金属状態は安定化することが知られているので、今回、これまでに強磁性を示す塩を与えたEDT-TTFVOにセレン原子を導入したEDT-DSDTFVO(2)の合成を行い、その塩の構造と物性について検討した。電解酸化することにより、(2)_2MX_4(M=Fe,Ga,X=Cl,Br)が黒色板状晶として得られた。そのうち、FeBr_4^-塩の結晶構造解析に成功した。ドナー分子とアニオン分子はそれぞれ分離して積層している。ドナー分子の配列様式はβ型で、ドナー層内にはファン・デル・ワールス半径の和よりも短いカルコゲン接触がスタック内およびスタック間両方に存在する。また、ドナー-アニオン間には多くの短いS…Br接触が見られる。重なり積分の計算を行ったところ、スタック方向の重なり積分は他の方向に比べ著しく大きい。このような強い一次元的な相互作用を反映し、得られたフェルミ面は擬一次元的であった。いずれの塩も室温電気伝導度は数十Scm^<-1>と高く、セレン原子による分子横方向の相互作用の強化により、50K付近から抵抗に若干の上昇を示すものの、4.2Kまで室温とほぼ同程度の高い伝導性を保持した。磁場下4Kにおける結晶面間の電気抵抗測定の結果、GaCl_4^-塩においては正の磁気抵抗が認められた。一方、FeCl_4^-塩の磁気抵抗は、磁場の増大と共に減少し、大きな負の値となった。これらの結果より、FeCl_4^-塩において強いπ-d相互作用の存在が示された。FeBr_4^-塩の磁化率の温度依存性はキュリー-ワイス則に良く従い、FeBr_4^-塩の大きな負のワイス温度から、FeBr_4^-イオンのFe(III)のdスピンは強く反強磁性的に相互作用していることが示された。しかしながら、1.9Kまでの測定温度範囲で磁気相転移は観測されなかった。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)