Budget Amount *help |
¥8,200,000 (Direct Cost: ¥8,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
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Research Abstract |
赤外領域における超高速レーザー技術に関する最近の進歩に伴い,赤外領域の2次元赤外スペクトルが精度良く測定できるようになって来ており,その理論的解析法にも関心が急速に深まってきている。そこで本年度は,溶媒運動の動的効果を取り入れた2次元赤外スペクトルの計算法を考案し,解析プログラムを開発するとともに,ペプチド基類似の性質をもつ液体であるN,N-ジメチルホルムアミドのアミドIバンドを対象にして,実際の計算をおこなった。 まず,分子パラメーターの妥当性を検討するために,時間領域の表式を用いて偏光ラマンスペクトルを計算したところ,ラマンノンコインシデンス効果の大きさやバンドの非対称性といった点において,実験との良い一致を得た。したがって,振動ハミルトニアンの構築に用いた分子パラメーターは,十分に妥当であると結論づけられた。そこで,これを用いて2次元赤外スペクトルを計算した結果,(1)2次元赤外スペクトルの2つの振動数軸に対応する2つの時間間隔における振動励起波動関数がrephasingの関係にあるときには,実部における正のピーク位置や,虚部における正バンドの強度の対称性に,分子間の振動カップリングの効果を見ることができること,(2)偏光条件をzzzzとしたスペクトルとzxxzとしたスペクトルの差(S_<zzzz>-3S_<zxxz>)をとることにより,その効果をさらに明確に見ることができること,(3)2つの時間間隔における振動励起波動関数がnon-rephasingの関係にあるときにも,振動カップリングの効果を見ることはできるが,rephasingの場合ほど明確ではないこと,が明らかとなった。
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