Project/Area Number |
16041220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 毅 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80345917)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | モード結合理論 / 疎水性水和 / 積分方程式理論 / 誘電緩和 / 回転相関時間 / 並進拡散係数 / 水和水 / 液体論 / 一般化ランジェバン方程式 / 回転緩和 |
Research Abstract |
1.昨年度の研究において定式化された、外場の存在下における液体の一般化ランジェバン理論を用いて、溶質の瞬間的な微小並進に対する溶媒の応答から、単純液体中の球状溶質の並進運動に対する摩擦係数を評価した。溶質サイズが溶媒と同程度の場合には、流体力学的効果は溶質の摩擦係数にさほど重要ではなく、摩擦係数は溶質-溶媒相互作用に強く依存していた。一方、溶質のサイズが大きくなると、時間依存の摩擦係数の長時間領域に見られる流体力学的テールが大きくなり、短時間領域で見られる溶質-溶媒間の引力的相互作用の効果を相殺する様子が見られた。本計算の結果からは、溶質のサイズが溶媒の10倍(水溶液では直径3nm)程度になると、溶質-溶媒間の引力的相互作用は溶質に加わる摩擦係数に影響を及ぼさなくなり、摩擦係数は流体力学的効果に支配されることが予想され、通常の水溶性球状蛋白質では、その並進拡散係数は流体力学的に導出されるStokes-Einstein式に従うと考えられる。 2.我々のこれまでの研究の結果によれば、水の運動性の低下は、溶質による空孔形成に伴い、溶媒の数密度揺らぎが増大し、溶媒の電気分極の緩和の協同性が低下したことで説明することが可能である。この機構は水に特異的な構造を前提としていないため、同様の現象は他の極性溶媒でも見られることが予想される。そこで、アルコールを溶媒とし、溶質-溶媒相互作用の異なる各種無極性溶質を溶解させた溶液について誘電緩和スペクトルを測定し、溶質が溶媒の運動性に与える影響を検討した。溶質が溶媒との相互作用が弱い場合には、溶液の誘電緩和時間が長くなり、溶媒と水素結合を形成する溶質の場合では、溶液の誘電緩和時間が短くなった。この傾向は、水溶液系における疎水性水和、負水和とそれぞれ対応しており、疎溶媒性溶質による溶媒の運動性の低下は水溶液に限定されないことが明らかとなった。
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