Project/Area Number |
16041230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
富永 圭介 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (30202203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 泰久 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 助教授 (60270469)
太田 薫 神戸大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (30397822)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥15,200,000 (Direct Cost: ¥15,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥8,000,000 (Direct Cost: ¥8,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥7,200,000 (Direct Cost: ¥7,200,000)
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Keywords | 化学物理 / 生物物理 / 高性能レーザー / 水和 / 蛋白質 / 非線形分光 / ラマン分光 |
Research Abstract |
主にピコ秒・フェムト秒の時間分解能を持つ超短パルスレーザー分光を用いて、水及び水溶液中の溶質(イオンや蛋白質)の動的挙動に関する研究を行う。特に、動的揺らぎや集団運動の検出とその解析、それが反応や蛋白質の動的構造に及ぼす影響を明らかにする。本年度は以下の成果を得た。 1.赤外非線形分光による水及び水溶液のダイナミクス:既存のものに加えて、2台目の光パラメトリック発生/増幅および差周波発生装置を製作した。赤外パルス光のスペクトルを測定し、2800cm^<-1>において非線形分光を行うのに十分なスペクトル幅とエネルギーを持たせることができた。これによりある特定の振動モードを励起しその後どのように振動緩和が起こるかを、二波長時間分解分光測定を行うことにより、追跡が可能である。水素結合性液体中における振動ダイナミクスの理解を深めるために、非水素結合性で極性の高い溶媒中における振動緩和の測定を行った。現有の測定系を用いて、様々な有機溶媒中でのSCN^-の反対称伸縮振動モードの振動エネルギー緩和過程や回転緩和過程を調べた。非水素結合性溶媒中での振動エネルギー緩和時間は水素結合性溶媒中よりも2倍以上長いことがわかった。また、振動エネルギー緩和時間と赤外吸収スペクトルの線幅に良い相関関係が見出された。さらに、生体膜と水の相互作用を調べるモデル系として、逆ミセル中における溶質分子の回転緩和、溶媒和ダイナミクスの測定を行い、界面近傍の水はバルクの水と異なり、界面に強く束縛されており、数十倍粘度が高くなっていることがわかった。 2.ピコ秒時間分解ラマン分光による蛋白質と水の動的相関:ミオグロビン(Mb)中で、ヘムはプロピオン酸基によって周囲のアミノ酸残基と水素結合ネットワークを作っている。本研究では、Mbの振動エネルギー緩和におけるプロピオン酸基の影響について調べた。ヘムの側鎖にプロピオン酸基をもたない再構成ミオグロビン(rMb)を調製し、ピコ秒時間分解共鳴ラマンスペクトルを測定した。アンチストークスラマンバンド強度の時間変化を解析することにより、Mbとの振動エネルギー緩和速度を求めた。その結果、rMbではMbに比べて、緩和速度は遅いということが明らかになった。このことは、Mbのヘムの振動エネルギー緩和経路に、プロピオン酸基が関わっていることが示している。
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