Project/Area Number |
16043244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上野 貴将 熊本大学, エイズ学研究センター, 講師 (10322314)
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 細胞・組織 / 免疫学 / 臨床 |
Research Abstract |
末梢のT細胞レパートリーは大きくナイーブ型とメモリー型が担っている。メモリーT細胞の働きは同一の病原体への迅速な免疫応答というだけでなく、そのレパートリーは別の新しい抗原に対する免疫応答にも多大な影響を及ぼすと推定されるが、その実態は明らかではない。本研究では、変異性の高い病原体であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対するヒトCD8T細胞の応答をモデルとして、ヒト免疫監視機能を解析した。数多くの遺伝子クローニングを行なうため、パーソナルタイプのゲル撮影装置を購入して、DNA組換え実験の効率を向上させた。その結果、慢性HIV感染患者からHLA-B35拘束性のHIV pol由来ペプチド(IPLTEEAEL)に特異的な2種類の異なるCD8T細胞集団を同定した。HLAテトラマーを用いてT細胞レセプター(TCR)と抗原ペプチドとの相互作用を解析したところ、両集団では3倍以上の親和性変化が認められた。機能解析を行ったところ、適度な結合性を示したCD8T細胞ではHIV感染細胞に対して顕著な細胞傷害活性、サイトカイン産生、増殖活性を示したにもかかわらず、高い結合性を示したCD8T細胞ではいずれの活性も認めなかった。さらに両T細胞からTCR遺伝子をクローニングし、健常人から分離したCD8T細胞に導入する方法を確立させた。高い結合性を示したTCR遺伝子の導入により、CD8T細胞はテトラマーに対する高結合活性を得たが、HIV感染細胞に対する細胞傷害活性は示さなかった。この結果は慢性HIV感染患者のCD8T細胞で観察された結果をよく再現していたことから、HIV感染細胞に対するT細胞の機能障害はTCRの抗原認識レベルで起こることが明らかとなった。このことはHIVに対するヒト免疫監視機能とHIVによる免疫逃避に新たな示唆を与えるものである。
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