Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
これまでに、減数分裂期特異的にヒストンのグローバルな脱アセチル化が起こることが明らかとなっているが、その生理的機能については明らかとなっていない。そこで前年度においては、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であるtrichostatin A(TSA)を用いて減数分裂期の脱アセチル化を阻害し、その後の発生にどのような影響が生じるかを調べた。その結果、TSA処理によって染色体数に異常が生じる割合が増加し、ヒストンの脱アセチル化は減数分裂期において染色体の分配を調節する機構に関わっていることが示唆された。また、減数分裂中にヒストンの脱アセチル化が起こらないことによって染色体数に異常が生じ、その結果胚発生が阻害されることが示された。一方、加齢によってもその胚発生率が減少し、さらにその原因の1つとして染色体数の異常が報告されていることから、これらの現象に減数分裂期のヒストン脱アセチル化が関わっていることが考えられた。そこで本年度は、高齢マウスの卵を採取し、減数分裂中の脱アセチル化を調べた。その結果、若いマウスでは第2減数分裂中期卵において調べたすべてのヒストンのリジン残基が完全に脱アセチル化されていたが、高齢マウスの卵では約40%の卵でヒストンのアセチル化が残存していた。さらに高齢マウスの卵細胞質中のヒストン脱アセチル化活性を調べるために、体細胞核を移植し、ヒストンのアセチル化状態の変化を調べた。その結果、若いマウスの卵に比べて、高齢マウスの卵はヒストン脱アセチル化活性がやや低下している傾向が見られた。このような高齢マウスの卵におけるヒストン脱アセチル化活性の低下が、実際にどのように胚発生率低下に関与しているのかは今後の検討課題である。
All 2006 2005
All Journal Article (5 results)
Journal of Reproduction and Development 52
Pages: 99-106
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