Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
当初の解析対象とした海馬苔状線維シナプス前部のATP受容体は、本研究開始後に免疫組織学的検索に用いた抗体の特異性に由来するアーチファクトであることが判明したため、今年度は同じくシナプス前部に発現するGABA_A受容体の機能を解析し、これがニューロン・グリア連関により制御されうるかについて検討することとした。シナプス前GABA_A受容体の活性化機構として、(1)苔状線維終末自身からの自己回帰的活性化、(2)抑制性介在ニューロンからのスピルオーバーによる異シナプス性活性化、(3)定常的なGABAによる持続的活性化、などの機構が想定されるが、いずれもGABA取り込みにより強く制御されると予想され、その制御機構を明らかにすることはGABAを介したニューロン・グリア連関の理解に有用であると考えられる。本研究では、苔状線維シナプス前GABA_A受容体の機能的意義を明らかにする目的で、苔状線維終末自身がGABA供給源として妥当か否かについて検討した。歯状回顆粒細胞層に強い刺激を与えるとCA3野ニューロンにグルタミン酸受容体阻害薬(CNQXとAP5)存在下で単シナプス性IPSCを生じたが、弱い刺激で選択的に苔状線維のみを刺激した際には単シナプス性IPSCは生じなかったから、苔状線維シナプス自身はGABAを放出しない可能性が高い。幼弱期の苔状線維シナプスからグルタミン酸に加えてGABAが共放出されるという仮説は、不適切な実験条件によるアーチファクトであると考えられた。
All 2004
All Journal Article (2 results)
Molecular and Cell Biology 24巻10号
Pages: 4513-4521
Journal of Cell Biology 167巻2号
Pages: 293-302