Budget Amount *help |
¥7,400,000 (Direct Cost: ¥7,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
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Research Abstract |
下オリーブ核から小脳皮質への登上線維は,プルキンエ細胞を強く興奮させる。登上線維の興奮性伝達物質は,反復刺激に伴い大量に放出されると,放出部位から拡散して籠細胞終末のAMPA型グルタミン酸受容体を活性化することにより,籠細胞からプルキンエ細胞へのGABA放出を阻害する。この拡散を介したシナプス前性制御は,プルキンエ細胞を脱抑制することにより,小脳出力をさらに強化する生理的役割を担うと考えられる。本年度は小脳スライス-パッチクランプ法を用いて,グルタミン酸輸送体タンパク質が拡散過程に果たす役割を検討した。EAAT4/GLT-1特異的阻害薬threo-3-methylglutamic acid(IC_<50>=〜100μM)を灌流投与すると,低濃度(30μM)で登上線維刺激に伴う異種シナプス抑制を顕著に増強した。一方,GLT-1阻害薬dihydrokainic acid(IC_<50>=〜20μM)は,高濃度(300μM)で投与しても異種シナプス抑制に無効であった。プルキンエ細胞に豊富に存在するニューロン型グルタミン酸輸送体EAAT4が,拡散を介した異種シナプス間相互作用の制御因子として機能していることを示唆する結果である。 EAAT4タンパク質は,小脳虫部矢状方向にzebrin-II(aldolase C)と重複する様式で帯状に発現している。この性質を利用してEAAT4発現量と異種シナプス抑制の関連について検討を行い,EAAT4発現が低い領域(第III小葉)では容易に異種シナプス抑制を誘発できるが,高発現領域(第X小葉)では誘発できないことを見出した。拡散を介した異種シナプス抑制には,EAAT4発現量に依存した領域特異性があると推定される。また,プルキンエ細胞がEAAT4機能を変えることにより,登上線維と籠細胞のクロストークの制御に関わる可能性を強く示唆している。
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