Project/Area Number |
16048208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
濡木 理 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10272460)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | 嗅覚レセプター / 味覚レセプター / 温感レセプター / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
嗅覚・味覚(甘・旨味)・温覚レセプターと特異的リガンドの複合体のX線結晶構造解析を行うことにより、外界の化学的あるいは物理的刺激がレセプターの構造変化を誘起し、共役Gタンパク質との新たな相互作用を形成、あるいはチャネルの透過性を変化させるメカニズムを解明することを目的とした。申請者らは、TRPファミリーチャンネル(温度感受性陽イオンチャンネル)に属するTRPM8(冷感チャンネル)とTRPV1(温感チャンネル)について、バキュロウイルスを用いた昆虫細胞の発現系を用いて、チャンネルの予備的な発現に成功した。現在、様々な界面活性剤を用いて、レセプターの膜からの可溶化を試みている。嗅覚・味覚レセプターは、G-protein coupled receptor (GPCR)であり、嗅覚分子・味覚分子との結合に伴うレセプターの構造変化が3量体Gタンパク質を活性化し、これがさらにホスホリパーゼCを活性化することで、膜からイノシトール3リン酸が合成・遊離し、これが小胞体膜上のIP_3レセプターと結合することで、Ca^<2+>イオンが細胞質中に放出され、細胞の脱分極→興奮が起こる。我々は、メタノール要求性酵母であるPichiaを用いて嗅覚レセプター(ライラール感受性のMOR23、ユーゲノール感受性のEG)の大量調製系を構築したが、残念ながら発現は認められなかった。嗅覚レセプターはタンパク質の大部分が膜に埋まっているため発現が困難であると考えられるので、N末端に大きな味覚分子結合ドメインを持つ味覚受容体の酵母での発現系を構築している。また、真核生物の膜タンパク質は調製が困難で構造解析例も少ないことから、新たに原核生物の膜タンパク質(プロトンポンプ、電子伝達系)について、東京工業大学・吉田博士との共同研究を推進している。大腸菌の呼吸鎖電子伝達系では、解糖系やクエン酸回路から供給されるNADHやコハク酸を利用して、複合体IとIIが脂質二重膜内のユビキノンを還元し、次に複合体IV (Cyt boとCyt bd)が還元型ユビキノン(ユビキノール)を用いて酸素分子を水に還元する。この結果、大腸菌の細胞質側からペリプラズムにプロトンが輸送され、形成されたプロトン勾配を用いてATPが合成される。Cyt boは4つのサブユニットからなり、ユビキノールの酸化と酸素の還元を触媒するとともに、プロトンポンプとしての機能を有する。我々は、Cyt boとユビキノール誘導体であるAurachin C阻害剤との複合体の予備的な結晶化に成功した。また、大腸菌の細胞膜がファージなどによって破壊され、膜電位が保てなくなった場合に、細胞膜に結合し、壊れた細胞膜を修復するPspA(Phage shock protein A:電顕より4量体が9つ集まって外形200Å、内径95Åのリング構造を形成)の予備的な結晶化にも成功した。
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