細胞膜上のRGS8/8S反応複合体の分子生物学的解明
Project/Area Number |
16048232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
齊藤 修 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60241262)
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | RGS / G蛋白質 / 受容体 / Gq / 小脳 / 細胞膜 / プルキンエ細胞 / カルモジュリン |
Research Abstract |
我々は、G蛋白質制御因子としてGαGAPの作用をもつRGS8とRGS8S(N端部9残基のみが異なる)をクローニングして解析を行ってきた。そして、RGS8が小脳プルキンエ細胞に特異的に高発現していること、Gαiファミリーに結合してGi系の細胞応答を顕著に加速することなどを明らかにしてきた。さらに、最近の研究によって、RGS8は、プルキンエ細胞ではN端を使い分けて様々な蛋白質分子と相互作用して、RGS8反応複合体とRGS8S反応複合体を形成して、特定の細胞膜への移動や受容体選択的なGq制御を行っているものと考えられるようになってきた。そこで本研究では、これらの反応複合体の実体を明らかにするため、次の二つの方向の研究を行った。(1)タグ付きRGS8及びRGS8Sを発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作成し、それぞれの反応複合体をタグを利用してアフィニティー精製する。そして結合タンパク群を見つけ出していく。(2)Gタンパク質以外のGqシグナリングに関わる既知の情報伝達因子で、直接RGS8あるいはRGS8Sと相互作用するものはないか検討していく。 結果、(1)については、小脳プルキンエ細胞特異的な発現を導くL7プロモーターを用いて、RGS8およびRGS8SのTgマウスを作成中である。これまでに発現レベルの低いマウスしか得られていない。高発現体が胎生致死となる可能性も考えられるため、G蛋白質制御能を失わせた変異体RGS8のTgマウスも作成中である。また、(2)については、極めて興味深い結果が得られた。まずRGS8とRGS8Sの組み換え蛋白質を作成して、カルモジュリンとの結合性を解析した。すると、RGS8がCa^<2+>依存的にカルモジュリンに結合することが明らかになり、しかもN端9残基のみが異なるRGS8Sは反応性が弱いことが判明した。このことは、RGS8の特異的N端部に直接Ca^<2+>/カルモジュリンが結合することを示唆している。また、M1、M2、M3ムスカリン受容体の第三細胞内ループの組み換え蛋白質を用いて、GqあるいはGi系のGPCRとの反応性を解析すると、RGS8がGq系のM1及びM3受容体とは結合するが、Gi系のM2受容体とは結合しないことが判明した。しかも、N端が異なるRGS8Sは、そのGq受容体結合能が低く、さらにN端がないと受容体結合能が著しく減少することが確認された。このようにRGS8が、その特異的N端を中心に相互作用して、細胞膜上でCa^<2+>/カルモジュリンさらに直接Gq受容体を巻き込んだ複合体を形成して、反応特異性を調節している機構が明らかになってきた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)