Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
○今年度を「基礎探索期」と位置づけ対象となる化合物群の選択を重点的に行った。化合物データベース、自身の研究データより、サブナノペアを形成する可能性のある化合物群を探索した。発光中心イオンとしては赤色発光用にEu^<3+>、緑色発光用にTb^<3+>、青色発光用にTm^<3+>を用いるが、その発光色が結晶場に依存するEu^<2+>、Ce^<3+>、Mn^<2+>も最適な発光の可能性を検討した。この為発光中心イオンによって置換される希土類イオンサイト、アルカリ土類金属イオンが構成元素として含まれる化合物、特にメリライト構造をもつ化合物について重点的に行った。主として酸化物、炭酸塩を出発原料とし、湿式・乾式混合の後、大気炉または雰囲気炉による固相反応により合成を行った。合成の雰囲気は発光中心イオンの価数に依存し、空気中もしくは混合ガスによる還元雰囲気中で行った。上記によって合成された試料に対して分光蛍光光度計により紫外線励起を行い発光特性を評価した。発光中心イオン濃度の異なった複数の固溶体に対して発光強度の濃度依存性を調べ、濃度消光発生の有無、臨界濃度等を調べた。これにより一部の化合物群、特にメリライト系化合物については著しく濃度消光が抑制された濃度依存性が確認された。合成した化合物の一部については単一相が得られていないものもあり、理想的な濃度依存性がはっきりした形で確認できていない化合物群もあるので、合成条件の最適化によりペア形成が可能な結晶構造を実現できる可能性がある。