Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 裕 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (20201436)
金井 篤子 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (80262822)
村瀬 聡美 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 助教授 (30335020)
平石 賢二 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 助教授 (80228767)
高井 次郎 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 助教授 (00254269)
|
Research Abstract |
心理学の研究は,複数の心理学的概念間の因果関係を明らかにすることを目的にして行われる。研究の対象となる概念は,経験的な研究においては,変数として扱われる。その際,相関研究の果たす役割は大きい。相関研究とは,独立変数の値をランダムアサインメントによって割り当てることができる実験研究と異なり,独立変数の値が自然発生的な変動によって決まる個人差として与えられるような研究を指す。その結果,相関研究においては,概念間の因果関係の検討のために,理論への負荷が大きくなるだけでなく,統計的も複雑な手法が必要となる。さらに,各概念を表現していると考えられる変数上の個人差を,いかに信頼性と妥当性の高い尺度によって測定するかが,研究の成否を分ける重要なポイントとなる。 本研究は,心理学的な個人差測定尺度の構成のための理論と方法について,次の観点からの大規模な研究を実施するための企画・調査を目的として実施された。 (1)心理学的な相関研究において,測定に起因する問題にはどのようなものがあるか。 (2)現時点で用意されている統計学的,計量心理学的ツール・ボックスにある手法をどのように使えば,適切な尺度構成の方法となるのか? (3)新たに開発すべき手法が存在するとすれば,それはどのようなものでなければならないか? これらの賭問題について,研究代表者と分担者は,さまざまな形でコミュニケーションを繰り返してきた。その結果,つぎのプロジェクトにおいては, (1)経験的には,「不安」と「抑うつ」のような,概念的にも経験的にも十分に識別されないままできた概念の測定について,具体的な質問項目にもどり,かつ,明確な病理的属性をもつ被験者群を加えた検討が有効である。 (2)計量心理学的には,項目分析,主成分分析にもとづく古典的方法と,潜在方程式モデルの研究の諸段階における使い分けが必要であるが,そのための明確な基準はいまだ明らかでない。 (3)個人を単に次元上の点と見ない方法論が必要であり,そのヒントは,質的データの分析法である対応分析や,わが国独自の心理測定の方法であるSP表等にある。
|