Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,心臓壁に沿って伝搬するパルス状振動の伝搬状態と伝搬速度を,100Hzまでの周波数帯域でイメージングするための超音波計測方法を確立し,高精度心臓疾患診断の可能性を探究するとともに,数百Hzまでの振動成分による医療診断という新しい研究分野の開拓する.下記の研究を行い,各項目に関して十分な成果を得た. 1.水槽実験によるパルス状振動の伝搬速度の内圧依存性の検討(金井) シリコーンゴムによる弾性球殻を作製し,水槽実験において,パルス状振動が球殻壁上を伝搬する速度を超音波により計測した.ヒトの心臓壁に近い粘弾性特性をもつシリコーンゴムを用いたところ,ほぼヒトの心臓を同じ5m/s程度の伝搬速度が得られた.さらにヒトでは,大動脈弁の閉鎖タイミングにおいて内圧は急激に変化しているため,弾性球殻の内圧を変化させ,球殻を伝搬するパルス状波形の伝搬速度を計測したところ,内圧の低い場合に比較して,内圧を高くした場合に,伝搬速度が速くなる現象が得られた.ヒトに関して得られた結果を裏付けることができた.しかし,1つの波形伝搬中においても伝搬速度に変化があり,これがヒトの場合の伝搬速度の減少に対応する可能性もあることが見出された. 2.伝搬速度の周波数分散の計測とイメージング(金井) 心臓壁内に設定した多数点でほぼ同時に計測されたパルス状振動波形を周波数解析することによって,100Hz成分までの各周波数成分に関する伝搬速度を決定できる計測法を開発し,伝搬速度に大きな速度分散性があることを確認した.これは,心臓の壁の粘弾性によるものであり,心筋の粘弾性を決定できる. 3.心臓疾患患者への適用(西條・金井) 心疾患患者へ適用し,特に心筋梗塞患者の梗塞部位に,このパルス状振動が伝搬しないことを見出した.これは患部の同定にとって非常に重要な知見といえる. 4.本研究の総括(金井) 以上,心筋梗塞による壊死領域の同定などの心臓疾患の診断を非侵襲で高精度に行うことが可能となり,臨床医学的な意義も大きいものと期待できる.
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