Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
平成16年度に開発した認知症(痴呆性)高齢者のための遊びリテーションシステムの改良と適用評価を行なった.対象システムのコンセプトは,自立歩行機能維持の観点から下肢筋力とバランス運動機能を維持・強化をめざすこと,痴呆症状の進行緩和の観点と継続的使用を実現するという観点から,入居者やスタッフが一緒に楽しめて会話を賦活できることの2点である.具体的には,2人1組でゲーム感覚で運動するもので,1人はエルゴメータをこいで進行速度を,もう1人はバランス運動器具を左右に傾けて進行方向を変更し,VR空間内の障害物を避け,ゲートをくぐったりターゲットを拾ったりして得点を挙げながらゴールを目指すというものである.昨年度はシステムの受容性を確認し,理解度向上のための改良を行なった.今年度は,インフォームドコンセントが得られた比較的認知症症状の軽い5名を対象に,身体機能維持・向上への効果の定量的評価を試みた.最初の1ヶ月(週2回計8回)の利用の前後で,歩行速度やストライド,Timed Up and Goテストなどに向上が見られたが,フォローアップでも向上が見られたり,その後冬季の1ヶ月の実施前後では悪化するケースが多かった.これらの評価では対象者の計測テストへの理解度や取り組み姿勢(一貫した努力を求めるのがむずかしい)が影響していること,システムによる介入以上に,日常生活,とくに季節変動の影響が大きいことが原因として考えられる.認知症の程度の評価では,MMSEやかな拾いテストなど,一般的によく行われているものを試したが,繰り返し実施することで対象者に不快感があり継続して実施することはむずかしいと判断された.運動機能・認知症程度ともに,ゲーム感覚で行なえる評価手法の開発が必要で,コンテンツに評価機能の追加を試みた.さらに,頻度の高い継続的な利用による効果評価をめざし,システムの常時設置とスタッフのみの運用を可能とするようアプリケーションの操作性向上と,可搬性の高い新たなバランス器具(自作)の開発を行なった.これを用いてもう一度評価実験を実施し,スタッフより運用性について高い評価を得られたため,常時設置を開始した.頻度の高い利用にはスタッフの運用体制の強化が必要であるが,現段階では週1回程度自発的に利用していただきスタッフにも入居者にも好評である.以上のように,開発したシステムは,グループホームに受け入れられ,コンセプトの2点目は充分達成したが,1点目については,コンテンツの中での評価手法の充実と,それを用いた効果の客観的・定量的評価が今後の課題である.
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