Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
環境基準としての水質項目など,従来より一般的に用いられている水環境や流域環境の良好度を表す指標が,必ずしも環境状態を反映したものではないことを動機として,本研究では,環境状態評価の本質を根本的に見直すことを通じて,普遍的な環境評価の思想を確立することを目的とした.具体的には,環境状態を支配している基本的事項は流域における物質の移動状態であるとの考えに基づき,流域内物質移流の連続性を表すパラメータ(連続性パラメータ)を提案し,このパラメータが流域環境の良好度を客観的に評価する普遍的かつ総合的な指標となり得るかどうかについて検討した. その結果,物質流出モデルに基づく流域内物質移動状況解析より,連続性パラメータが,流域内の環境要因を決定づける人間活動状況(人口,下水処理施設,家庭排水対策,農業,工業,森林施業,流路整備など)、に影響を受けていることを明らかにした.また,流下過程での自然浄化量と人間活動に伴う水域への物質排出量がバランスする空間的広さが大きくなるほど,連続性パラメータによる流域環境良好度が悪化する傾向があることも判明した.とくに,数km^2の集水域(集水域内メイン流路の流下距離としては1〜2km)で物質収支が保たれなければ,その下流域での余剰物質の浄化回復が困難となり,環境状態悪化をもたらす可能性が高くなることがわかった. さらに,この結果を前年度に実施した長良川流域内住民アンケート(有効回答数:12,382件)の解析結果と併せて検討したところ,現時点での絶対的な環境印象度よりも,過去からの環境変化量に関する印象と上述の物質収支悪化箇所とが一致する傾向があることが明らかになった.なお,数値生物モデルに基づくアユ生息状況解析からも物質収支状況を検討したが,これについてはモデルへの入力データが不足していることもあり,明確な結論を出すには至らなかった.
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