実験的な音律の多様性に関する研究、ならびにその可能性を模索する創造と実践
Project/Area Number |
16652009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Aesthetics/Art history
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤枝 守 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (80346858)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 音律 / モノコード / 純正調 |
Research Abstract |
「音律」という音楽実践の基礎となる領域に対して、これまでの歴史観を相対化しながら、実験的な方向を模索している本研究は、本年度が3年間の最終年となった。アメリカを中心とした海外の調査・研究や九州大学芸術工学部での演習科目のなかで実践した「モノコード」の楽器製作実習、あらたな音律の視点に立った作曲という表現行為など、これまでの成果をまとめあげ、そして、さらなる提言に向けた研究実践を本年度は行なったのである。 まず、このような音律研究・実践の成果は、2007年2月に平凡社から出版されたライブラリー(文庫)版『増補響きの考古学〜音律の世界史からの冒険』という著作のなかに反映されている。この著作は、以前、音楽之友社から出版されたのであったが、今回は、大幅な加筆による増補版となった。その加筆において、本研究が十分に生かされた。たとえば、テリー・ライリーが2005年の東京公演のなかで行なったナショナル・スチール・ギターにおけるあらたな純正調の試みや、2005年に発表された古楽専門誌《アーリー・ミュージック》(Oxford University Press)に掲載されたバッハの《平均律クラヴィーア曲集》に関する新説の紹介や考察、さらには、「モノコード」の製作実習の詳細なマニュアルなどがあらたに付け加わり、今後の音律に対する興味の広がりの指針となる充実した内容となっている。 また、本年度は、ピタゴラス音律(三分損益法律)による笙とヴァイオリンのためのいくつかの作品を発表し、この音律の可能性を明らかにすることができた。さらに、音楽教育用に開発された短琴(胴体が短くなり、調弦が簡便となった箏)に対して、実験的な調弦法を施す試みが演奏家とともに始められ、今後、その成果を発表することが計画されている。 以上のように、3年間の音律研究は、著作や作品発表を通じて社会に公開され、さらなる関心を引き起こすきっかけとなったといえる。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)