Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
人間の有するステレオタイプや偏見,差別などに見られる認知的,感情的振る舞いが,友人ネットワークのスモール・ワールド性の形成過程とその構造に与える影響を,社会ネットワーク分析,進化ゲーム理論,エージェント・ベースド・モデリングの手法により分析した. モデルにおいて,エージェント間のミクロなレベルにおける相互作用が,結果として友人ネットワークの形成過程と構造というマクロなレベルの特徴を規定するというスキームを構築した.エージェント間の出会いはJinら(E.M.Jin, M.Girvan, M.E.J.Newman, PRE 64,2001)のモデルに従うが,本研究のモデルにおける新たな視点は,任意の2人のエージェントが出会った際の友人ネットワーク形成の有無に関する意思決定は,各エージェントが出会う相手に対して抱くステレオタイプ(偏見あるいは差別とも解釈できる)により影響を受けるということをモデルに組み込んだ点である.シミュレーションにより,ネガティブなステレオタイプが変容しない場合と変容する場合に形成される友人ネットワークの構造の差異を比較し,ネガティブなステレオタイプとその変容の有無がネットワークのスモール・ワールド性に与える影響を主に分析した. ステレオタイプが変容しない場合,ネガティブなステレオタイプはスモール・ワールド・ネットワークの形成を抑制する方向に働くことが分かった.一方,ステレオタイプが変容する場合,スモール・ワールド・ネットワークは形成されやすくなることも確かめられた.ただしこのとき注意したいのは,ネガティブなステレオタイプは大幅な(大域的な)変更を必要としないことである.換言すると,グローバルなレベルでは仲が悪くても,ローカルなレベルで仲がよければ,ネットワークのスモール・ワールド性が現れるということが確認されたということになる. なお,本研究で得られた成果を,平成17年8月開催のネットワーク生態学研究会,ならびに平成18年3月開催の数理社会学会大会において発表した.
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