Project/Area Number |
16653056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educational psychology
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸野 俊一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30101009)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Keywords | つまずき体験 / 新たな知や理論の創出 / 知的満足の遅延 / 曖昧性 / 不確定性 / 自己省察 / 認識の起源 / 自己の考えへの"こだわり" / 再帰的な省察 / 思考の対象化 / 心理的距離 |
Research Abstract |
17年度は、次の三つの理論的・調査的研究を行った。 1)「つまずき」体験の受け止め方の解析:世界的レベルの記録を打ち立てていくスポーツ選手を中心にインタビューし、偉大な業績や記録を生み出している人々に共通している「つまずき体験」の受け止め方の特徴について解析した。アテネオリンピックで金メダルを取った選手や身体に障害を持ちパラリンオリンピックで活躍した選手に共通した「つまずき体験」の受け止め方の特徴として、(1)その場面を新たな展開や発展や進歩が期待できる可能性が潜在しているとポジチブに評価し、前向きに努力する、(2)つまずき体験をつまずき体験としてとらえるのではなく、そこから「何を学ぶか」という姿勢が重要である、(3)つまずき体験前後で自己の「価値観や世界観」に敏感になり、自己省察に心を開くようになる。 2)「つまずき体験」の克服過程:偉大な業績や記録を生み出している人々に共通する克服過程として、(1)あらゆる角度から問題や状況についての分析(状況との対話)、自己の取り組みについての批判的分析(自己内対話)を再帰的に加える、(2)直ぐに考えら取り組みの姿勢を変更するのではなく、納得できるまで自分のこれまでの考え方や取り組み方の姿勢に「こだわってみる」、(3)自分の思考を対象化し、現実世界との間の関係を多面的視点から吟味検討し、持続的な省察的思考を繰り返す。 3)知的満足の遅延と心的努力の過程との関連:偉大な業績が創出されていく過程には、必ず「曖昧性や不確定性」を実感しながら新たな解決策や手がかりを追求し続ける過程をともなる。新たな知や理論の創出はその過程を如何に克服しているか否かに依存するのであるが、知的満足の遅延(academic delay of gratification)の程度ないしは強さが、創造的なパフォーマンスを生み出す過程で極めて重要な機能を果たす事を実験的に明らかにした。
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