樹枝状結晶の先端はいつも丸いか?-ファセット面とラフ面で囲まれた樹枝の枝分かれ-
Project/Area Number |
16654046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics I
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 結晶成長 / 樹枝状パターン / ファセット面 / ラフ面 / マクロ分子 / 界面カイネティクス / 樹枝状結晶 / 不凍タンパク質 / 三次元構造解析 |
Research Abstract |
一般的な樹枝状結晶の成長モデルでは、樹枝の先端部の形の決まり方は表面(界面)の曲率によるギブストムソン効果による融点降下と熱拡散場との相互作用によるとされる。これは、界面が完全に荒れた(ラフな)面で界面カイネティクスの効果が完全に無視できる場合にあたる。しかし、実際の樹枝状結晶では、ファセット面で囲まれる場合やファセット面とラフ面が共存する場合など、非常に複雑である。その典型が空気中で水蒸気から成長する雪の結晶や過冷却水中で成長する氷結晶などである。 特に、特殊な寒冷な環境に住む魚や昆虫の体内に含まれる不凍糖タンパク質を不純物として含む過冷却水中のなか氷の樹枝状結晶を成長させると、ファセットで囲まれた樹枝状結晶が生成される。これは、界面に不凍糖タンパク質が吸着することにより、界面での結晶成長カイネティクスの効果が増強され、さらに異方性が強くなる。すなわち、不純物効果により純水中の丸い先端部を持つ樹枝がファセット面で囲まれた樹枝に変換された。一般に、不純物の界面吸着は、界面の荒れを誘起しファセット面をラフ面に変化させると考えられており、この結果はまったく逆の現象を観察したことになる。すなわち、不純物効果により界面のsmoothing効果が生じる場合を明らかにした。 この現象は、タンパク質などの巨大分子が不純物として作用する場合に特有で、無機結晶や生体内結晶に対する新しい結晶成長制御のメカニズムとしてきわめて注目される。今後、新しい結晶成長にともなうパターン形成の研究分野として発展する可能性が高く、さらなる研究の進展を図る必要がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)