Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本年度は,氷・珪酸塩混合物の水熱変成に最も重要な素過程である衝撃加熱に関する実験を行なった.衝繋加熱による温度上昇は衝突物質の空隙率に大きく依存する.また,含水鉱物の形成効率を考えると衝突加熱の領域を定量的に見積もることが重要である.そこで,空隙率を50〜80%の間で変化させた雪試料を用いてクレーター形成実験を行ない,回収した試料のクレーター孔を観察して加熱領域の広さとその特徴を調べた.また,水熱反応に重要な衝突余熱の定量測定を行なうため,赤外線ビデオを用いた直接観察の手法開発も行なった. クレーター形成実験は,雪試料(空隙率50%と80%)に2〜3km/sでナイロン弾(7mg)を衝突させて行なった.回収された試料からクレーターの形態を解析したところ,80%空隙率試料では上部を削られた球の形状を示すクレーターが観測された.球の中心は,弾丸径の8倍くらい表面から試料中に潜りこんでいる.一方,50%空隙率試料のクレーターは,スポール破壊によると思われるリング状の外縁部を持ち,その中に球形を示すクレーターが観察された.球の中心は弾丸径の5倍くらい試料中に潜り込んでいる.この空隙率の試料にのみ,クレーターの底面および側面に氷が融解して再凍結してできたと思われる薄い層が確認された.このことから,衝突速度2.7km/s(衝突点圧力〜3.9GPa)以上では,空隙率50%の試料においてはクレーター形成時に十分な量の氷が衝突溶融を起こすことがわかった. 隕石母天体の始源天体である微惑星はμmサイズのダストからできていたと思われている.そこでサイズ1μmのSiO_2ガラス球のアグリゲイトを衝突試料に用いて,衝突余熱の測定を行なった.温度測定は,衝突付着時の様子を赤外線ビデオカメラで撮影して行なった.ダストアグリゲイトを40〜50m/sまでガス銃で加速し,アクリル板に衝突させたところ,衝突後1/30秒以内に3℃以上の温度上昇が測定された.本手法は衝突余熱の測定に有効であることが確認された.
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