Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
不斉炭素原子を有する光学活性化合物に関する大きな学問体系と比較して,炭素原子よりも原子番号がひとつ小さいホウ素原子を不斉中心にもつ化合物の化学はほとんど未開拓である。本研究の目的は,不斉ホウ素原子を有する光学活性化合物の有用な合成法を開発し,それらの化合物の性質を明らかにすることである。特に,ホウ素原子上での求核置換反応と親電子置換反応の立体化学について詳細に検討し,対応する炭素化合物との相違点を明らかにする。また,ホウ素原子上にカルボキシル基,水酸基,カルボニル基,アミノ基等の官能基を有する光学活性体を合成し,それらの分子構造,物性および立体特異的反応性を解明する。本年度は,ホウ素原子上にメトキシカルボニル基,トリシクロヘキシルホスフィンおよび塩素原子が結合した光学的に純粋な4配位ホウ素化合物の合成を行い,ホウ素原子上での置換反応を試みた。 トリシクロヘキシルホスフィンボランを出発原料に用いて,目的とする化合物の(S)-フェネチルアルコールのエステル体をジアステレオマー混合物として得た。これを再結晶することによって,両ジアスレレオマーを純粋に得ることができた。各々のホウ素原子の絶対配置は単結晶X線構造解析によって決定した。純粋なジアステレオマーを加水分解し,生成したカルボン酸とメタノールを反応させることによって光学的に純粋な標的化合物を得た。この可能物と種々の求核試薬との反応を様々な条件下で試みた結果,反応は長時間を要するものの,置換生成物が良好な収率で得られた。シアノ基による立体反転の選択性は,97%であった。 さらに,ヨウ素原子を脱離基とする化合物の合成についても検討した。しかし,中間体がかなり不安定であり,現時点では標的化合物の合成には成功していない。
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