リボソームによるmRNA切断:分子機構と生理的意義
Project/Area Number |
16657050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Molecular biology
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 弘二 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20025662)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | tmRNA / トランス翻訳 / mRNA切断 / nonstop mRNA / リボソーム / 翻訳サーベイランス / リボソームの停滞 / レアコドン / 新生ポリペプチド |
Research Abstract |
バクテリアのtmRNAはtRNAとmRNAの両方の機能を持つユニークな低分子RNAで、トランス翻訳において中心的な役割を果たしている。トランス翻訳モデルは、モデル遺伝子の解析から提唱され、その機構のユニークさから多くの注目を浴びている。 これまでにモデル遺伝子を用いた解析より、終止コドンがトランス翻訳の新たな標的であること、この終止コドンにおけるトランス翻訳機構の解析を行なった結果、新生ポリペプチド鎖のC末端アミノ酸配列が決定因子であること、C末端アミノ酸配列はRFによる翻訳終結反応を阻害していること、終止コドンの種類に依存しないことなどを明らかにした。さらに解析を進めた結果、終止コドンにおけるトランス翻訳は、終止コドンの位置でリボソームが停滞した結果、mRNAの切断が起こり、nonstop mRNAの3'末端が産生されたためであることを明らかにしてきた。 従来から連続するアルギニンのレアコドンで翻訳伸長中のリボソームが停滞した場合に、トランス翻訳が起こることが知られている。このトランス翻訳は、正常なmRNA上のレアコドンで停滞したリボソームのA-siteにtmRNAが作用する結果と考えられてきた。すなわち、nonstop mRNAの3'末端以外におけるトランス翻訳の例とされてきた。今回、レアコドンにおけるトランス翻訳も、停滞したリボソームに応答してmRNAの切断が誘起され、生じたnonstop mRNAにtmRNAが作用する結果であることを証明した。本研究結果は、リボソームの停滞は、一般にmRNAの切断とトランス翻訳を引き起こすこと、nonstop mRNAの3'末端がおそらく普遍的唯一のtmRNAの作用点であることを示している。 本研究結果は『翻訳サーベイランス機構』を利用した遺伝子発現制御機構や、真核生物における『翻訳サーベイランス機構』の探索などにもつながることが期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)