サクラ自家不和合遺伝子の多様性-遺伝子の機能、変異、進化をつなぐ分子生態学的解析
Project/Area Number |
16658064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
林学・森林工学
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
向井 讓 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80283349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 義彦 森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 研究職(ゲノム解析研究室長) (20353774)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 自家不和合成 / サクラ / S-RNase / 遺伝子流動 / 遺伝的構造 / 自家不和合性 / 分子進化 |
Research Abstract |
サクラ局所個体群におけるS対立遺伝子の保有状況:マメザクラ個体群(静岡県富士宮市人穴)内の開花個体及び特定の着果個体(母樹)から採取した自然交雑種子を対象として、SSRマーカーを用いて花粉親を同定した。次に、花粉親のサイズ(樹高、地上30cmの高さにおける幹断面積、樹冠面積)及び開花時期、母樹との距離が花粉親としての貢献度に及ぼす影響を調べた。花粉親のサイズや母樹との距離については、調べた母樹に共通する影響は確認できなかった。しかし、母樹周辺の開花個体密度が高い場合は、周辺個体の貢献度が高く、ディスプレイ効果が反映されていると推察された。また、母樹との開花時期の重なりが長い個体が花粉親になりやすい傾向がみられた。一方、同定した花粉親におけるS遺伝子座と連鎖するSSR座の対立遺伝子頻度は、開花個体群の対立遺伝子頻度とよく似ていたが、種子に伝達された花粉親由来の対立遺伝子の頻度分布は、母樹と一致するS対立遺伝子が完全に拒絶されたことを示していた。このため、ランダムな受粉がおこなわれる条件下で自家不和合性が確実に機能していることが確認された。また、S遺伝子座と連鎖のないSSR座の遺伝子流動には部分不和合の影響が認められなかった。以上の結果から、マメザクラでは個体間距離、個体サイズ、開花時期のいずれもが局部的には遺伝子流動を変化させる要因となりうるが、個体群全体としてはランダムな受粉がおこなわれること、個体群が保有するS対立遺伝子の多様性が高いため、S対立遺伝子の空間分布の偏りは遺伝子流動の制限要因とならないことが明らかになった。 サクラS-RNaseの塩基配列の多様性:マメザクラ個体群内で同定した51個のS対立遺伝子のうち38個の塩基配列を決定し、分子進化学的解析を行った。分子系統樹を解析した結果、マメザクラを含むサクラ亜属のS対立遺伝子はtrans-specific evolutionにより進化したと推定された。また、38個のS対立遺伝子全てが異なるS対立遺伝子として機能していることが推察された。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)