Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
平成17年度の研究において,マウスに牛乳IgG1を経口摂取させると,腸管IgA産生や血液のIgG産生が抑制され,マクロファージやナチュラルキラー細胞数やそれらの機能が促進されるということを見出した。平成18年度はその原因を究明することを目的として研究を進めた。その結果, (1)マウスにIgG1を経口的に投与すると,そのIgGの多くが抗原結合能を有した状態で腸管に到達し,一部は腸内細菌とIgG-抗原複合物を形成して,また一部は遊離のIgGの状態でM細胞を介してパイエル板内に取り込まれることが確認された。 (2)パイエル板内に取り込まれたIgG-抗原複合物は,樹上細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞のFcγIIb受容体に結合し,遊離のIgGはそれら抗原提示細胞のFcγI受容体に結合することが,抗FcγIR抗体とFcγIIb/III抗体を用いた実験により確認された。 (3)IgGがFcγI受容体に結合することにより,樹上細胞やマクロファージの増殖や分泌機能が促進され,腸管から他の免疫組織への移動が活発になることが知られている。したがって,経口摂取したときに腸管で抗原との複合物をつくれなかったIgGがマクロファージやナチュラルキラー細胞の数の増加やそれらの機能の促進につながることが明らかになった。 (4)一方,IgG-抗原複合物がFcγIIb受容体を介して結合した抗原提示細胞は抗体産生に必要なCD80分子やCD83分子の発現が抑制されることが確認された。したがって,このことが牛乳IgG1を経口摂取すると抗体産生が抑制されるという原因であることが明らかになった。 以上の結果は,妊娠牛に乳酸菌やパン酵母のような食用微生物を免疫し,その牛が分娩後に分泌した牛乳からホエイたんぱく質濃縮物を調製し,それを免疫に用いた食用微生物とともに経口摂取すれば,花粉症や自己免疫疾患が予防できる可能性を示唆するものである。
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