Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
過敏性腸症候群では消化管に過敏な運動が生じることが知られている.この原因として不安などによる中枢神経系異常が内臓知覚神経を過敏にしていることが重要視されている.私達はその原因を「ストレスによる自律神経系の失調に伴い,消化管ペプチドの恒常性が破綻し,神経ペプチドが内臓知覚神経過敏を惹起させることによる」のではないか,と推定した.その候補の神経ペプチドとしてウロテンシンIIに着目し研究を行った.その他の神経系に作用する薬物などに関しても検討を加えた. 1)ウロテンシンIIはモルモット回腸の収縮を促進したが,ラットやマウスの回腸では顕著な収縮作用を示さなかった.モルモット回腸での収縮には,ニコチン受容体含有神経からのアセチルコリン放出が重要であり,一過性の収縮反応と持続的な収縮に関与していた.さらにアラキドン酸代謝,シクロオキシゲナーゼ活性,プロスタグランジン受容体がウロテンシンIIによる持続的収縮に関与していた. 2)過敏性腸症候群に直接的に関わっている消化管部位を同定する目的で,マウスから上向結腸,横行結腸,下向結腸,直腸の部位別標本を作製し,知覚神経を構成しているTRPV1(バニロイド受容体)含有神経をカプサイシンで刺激し,各部位の収縮特性,関与している神経ペプチドなどの同定を行った.上向および横行結腸では,アセチルコリン系支配のみが優先的であり一過性収縮反応を示した.下向結腸および直腸では,TRPV1刺激で,直後の一過性弛緩,その後の一過性収縮と持続的収縮が観察された.現在,各収縮・弛緩プロセスにおける介在神経ペプチドやウロテンシンII,一酸化窒素,プロスタグランジン受容体などの関与を検討中である. 3)マウス新生児に対してマターナルセパレーション(母子分離)処置を行い,腸管運動性の変化を与えるストレス条件を見出した.過敏性腸症候群の病態モデルとして有用である可能性を見出した.
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