Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
ホヤの自家不稔機構の解析は,抗体やMHC等の獲得免疫系を持たない下等脊索動物における自他認識機構の謎を解く上でも興味深い題材である.マボヤの卵黄膜主要構成成分HrVC70は,自家不稔性が獲得される卵成熟過程で卵黄膜に接着するようになること,自家不稔性が解除される卵の弱酸処理により特異的に遊離してくること,非自己精子の方が自己精子よりもHrVC70-agaroseに多く結合すること,非自己のHrVC70で精子を処理した方が自己のHrVC70で処理した時よりも受精阻害効果が強い事,HrVC70の配列をRT-PCR法により個体レベルで解析すると,この分子は分子多型に富み,今まで解析したすべての個体で,しかもある特定領域でアミノ酸残基の置換が起こっていることが判明した.個体間で全く塩基置換が起こらない領域がある一方で,変異に富む部位では,正のダーウィン選択圧がかかり,積極的に置換を起こしていることも分かってきた.同様の分子(HaVC80)はマボヤと同属のアカボヤにも存在し,EGFドメインが1回多い13回である点は異なるが,変異部位に関しても類似していることが分かってきた.HrVC70分子のドメイン重複は種分化の引き金になっている可能性も考えられ,非常に興味深い.本研究では,HrVC70に対する精子側の結合タンパク質の探索をも行った.その結果,精子ラフト画分に局在する35kDaの膜タンパク質がHrVC70と相互作用することが明らかになった.この分子のアミノ酸配列とそれに基づくcDNAクローニングを行った結果,本タンパク質はGPI結合型膜タンパク師で,SCPモチーフを有する新規タンパク質であることが判明した.この分子に対する抗体は受精や精子のHrVC70への結合を阻害することから,受精の場で実際にHrVC70と結合する精子側の因子であることが示された.今後,この分子とHrVC70との結合に関する詳細な解析を行うが重要な課題である.
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