Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
浮腫は,種々の疾患の合併症として生じる病態である.浮腫の治療には西洋医学的には高浸透圧剤や利尿薬が用いられるが,東洋医学的には利水薬が用いられる.利水薬による抗浮腫作用は,その薬理作用の特徴から利水薬は利尿薬とは異なる機序によると考えられているが,従来,利水薬の機序についてはほとんど解明されていない.我々はこれまでに利水作用を持つ生薬がaquaporin(AQP)阻害作用をもち,その作用の一部が生薬に含有されるマンガンおよび亜鉛等金属イオンに依存することを見出してきた.そこで本年度は,特にAQP4の金属イオン感受性の詳細な機序を追究するとともに,金属以外のAQP阻害成分について検討した.AQP4の金属イオン感受性はその構造中,第一細胞外領域に存在する63番目のアスパラギン酸および69番目のグルタミン酸の点変異により完全に消失した.これらの成績は,従来から知られるAQPの水通過孔に存在するシステイン残基以外にAQP機能を抑制する領域として第一細胞外領域を提唱する画期的なものである.また,猪苓および防已のエキスでは,疎水性の分画にもAQP抑制物質が存在することを見出した.未だ,阻害物質の完全同定には至っていないが,ステロール類であると推定している.これらの成績は,漢方薬の利水作用の科学的解明に大きく貢献するとともに,脳浮腫を始めとする種々の臓器の浮腫治療を目的としたAQP阻害薬の開発に新たな分子標的を提唱する重要な基礎データである.
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