Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90278177)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (90329475)
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (20350829)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
奥村 茂樹 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80350825)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
破骨細胞はどのようにしてビスフォスフォネートを取り込むのであろうか.我々は破骨細胞によるビスフォスフォネートの取り込みには,破骨細胞において酸の分泌に特異的に関与する液胞型プロトンポンプ(V-ATPase : Vacuolar-type H^+-ATPase)活性が関与している可能性を示す実験結果を得た.マウスの共存培養系で形成された破骨細胞を象牙質切片上に播き,アクチンリング形成と吸収窩形成に対するビスフォスフォネート(リセドロネート)の作用を検討した.破骨細胞をビスフォスフォネートあるいはカルシトニンで処理すると,18時間以内に破骨細胞のアクチンリングは破壊され,吸収窩形成は阻害された.また,V-ATPaseの特異的阻害剤であるバフィロマイシンを破骨細胞に処理することによっても,吸収窩形成は強力に阻害されたが,アクチンリングは破壊されなかった.そこで,破骨細胞に対してビスフォスフォネートをV-ATPaseの阻害剤と同時に処理した.その結果,V-ATPase阻害剤の存在下ではビスフォスフォネートはアクチンリングを破壊しなかった.このとき,カルシトニンはV-ATPase阻害剤の有無に関らず,アクチンリングを破壊した.一方,プロテアーゼ阻害剤であるE64は破骨細胞のアクチンリングの形成に影響を与えないが,ビスフォスフォネートはE64の存在下においては,破骨細胞のアクチンリングを完全に破壊した. 以上のように,ビスフォスフォネートによるアクチンリングの破壊は,V-ATPase阻害剤によって防御された.この知見は,ビスフォスフォネートは酸を分泌する破骨細胞に特異的に取り込まれ,細胞骨格を破壊することを示している.破骨細胞の波状縁直下の酸性条件は,極性型(水溶性)のビスフォスフォネートを非極性型に変換させ,脂溶性ビスフォスフォネートとして破骨細胞に容易に取り込まれるようにさせるものと考えられる.
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