Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
本研究の目標は、室温強磁性半導体と有機材料を融合した透明スピントロニクスの実現である。デバイスの実際の作製に加え、室温強磁性半導体CoドープTiO_2の強磁性発現機構の解明も行う。そこで、今年度は以下の研究を行った。1 室温強磁性半導体CoドープTiO_2(ルチル)薄膜を用いた有機EL素子の作製と評価2 室温強磁性半導体CoドープTiO_2薄膜の物性評価(1)キャリア濃度を系統的に制御した試料の異常ホール効果と磁気円二色性の測定(2)共同研究による放射光設備などを用いた分光測定(3)室温デバイス動作を目指したスピン注入実験研究成果1 スタンダードな発光層であるAlq_3を用いた有機EL素子の作製を行った。還元したTiO_2をアノードに用いた有機EL素子は明瞭な面発光を示し、従来のインジウムスズ酸化物をアノードに用いた有機EL素子に匹敵する発光効率を示した。TiO_2は化学的に安定で製造コストも安いことから、インジウムスズ酸化物のアノードに代わり得る。CoドープTiO_2をアノードに用いても同等の発光特性を示すことから、有機EL素子へスピン偏極キャリアを注入可能であることがわかった。(論文1報投稿予定)2 (1)酸素欠損量の変化によりキャリア濃度を系統的に制御したCoドープTiO_2の異常ホール効果と磁気円二色性の測定結果から、高キャリア濃度で強磁性が発現することがわかった。(2)X線光電子分光からCoの不純物準位がTiO_2の電子状態と強く結合していることがわかり、X線磁気円二色性からCoの電子状態はCo^<2+>の高スピン配置をとることがわかった。これらの結果はCoドープTiO_2の強磁性がキャリア誘起であることを強く示唆し、強磁性半導体の性質を持つことを示すものである。(3)CoドープTiO_2とCoFeを強磁性電極とするトンネル磁気抵抗素子を作製した結果、従来の強磁性半導体の約3倍という200Kまでトンネル磁気抵抗効果が発現することがわかった。これは半導体スピントロニクスデバイスの室温動作に大きく迫る成果である。
All 2006 2005
All Journal Article (10 results)
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Semiconductor Science and Technology 20