ひび割れ進展の能動的制御によるRC部材の新しいせん断抵抗機構の実用化に関する研究

• Project/Area Number: 16686028
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Field: Civil engineering materials/Construction/Construction management
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90251339)
• Project Period (FY): 2004 – 2006
• Project Status: Completed (Fiscal Year 2006)
• Budget Amount: ¥31,200,000 (Direct Cost: ¥24,000,000、Indirect Cost: ¥7,200,000); Fiscal Year 2006: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000); Fiscal Year 2005: ¥10,010,000 (Direct Cost: ¥7,700,000、Indirect Cost: ¥2,310,000); Fiscal Year 2004: ¥13,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000、Indirect Cost: ¥3,000,000)
• Keywords: せん断 / ひび割れ / せん断耐機構 / タイドアーチ / ACD / SCID / じん性 / せん断耐荷機構 / 靱性 / 靭性

Research Abstract

本研究では、形状加工を施した板状装置(面材、ACD)を部材内に埋め込むことにより、斜めせん断ひび割れの発生を制御して、せん断耐荷機構にタイドアーチ機構を有効に活用する方法について検討を行っている。昨年度までの実験的検討により、(1)設計上最低限必要となる最小せん断補強鉄筋量を配置した板状装置設置供試体の実験では、最低量のせん断補強筋と波板装置との併用効果により部材靭性が顕著に向上する、(2)はりの曲げ試験においては斜めせん断ひび割れの進展の抑制により部材靭性が飛躍的に向上するのに対して、柱部材に対して正負交番載荷を行うと、曲げ引張を受けた側のかぶりコンクリートが引張時に剥落してしまうために十分なタイドアーチ機構が確保されず、帯鉄筋を十分に配置した場合よりも性能が劣ってしまう、などの知見を得た。本年度は、これらの検討結果を踏まえ、板状装置の効果を数値解析へ取り込んだ。ACDの効果はタイドアーチ機構の形成によるので、FEMを用いた非線形構造解析で部材の挙動を精繊に追跡するには、圧縮部コンクリートに適用する圧縮特性低減モデルの精度が大きな鍵を握っている。しかし、従来の解析では、ACD部材のみならず、通常のディープビームのせん断耐力をも過小評価する傾向があった。これは、従来の圧縮特性低減モデルでは、載荷により内部に分散ひび割れが発生した状態を想定して直交方向ひずみに応じてコンクリートの圧縮強度を低減させてきたが、タイドアーチ機構を生じる部材では、そこまでの圧縮強度の低減は生じないことによる。そこで、プレーンコンクリートゾーンの圧縮強度低減モデルを改良することにより、ACDを埋め込んだ部材およびディープビーム共に解析精度を向上させることに成功した。なおACDを用いた部材の構造挙動は,ACDを接合要素(Joint element)として表現することでFEMで追跡することが可能である。

Research Products

• [Journal Article] コンクリートの膨張作用による鉄筋隅角部の変形挙動に関する解析的検討 (2006)
  • Author(s): 田中泰司, 岸利治
  • Journal Title: コンクリート工学年次論文集,Vol.28 No.1 Pages: 821-826
  • NAID: 110009696232
• [Journal Article] Analytical research on the RC members containing artificial crack in shear (2006)
  • Author(s): Yasushi TANAKA, Toshiharu KISHI
  • Journal Title: Proc.of the Fifth International Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, Phuket, Thailand Pages: 367-376
• [Journal Article] Shear Transfer Behavior of Cracked Concrete under Fatigue Loading (2005)
  • Author(s): Esayas Gebreyouhannes, FTWI, 岸 利治
  • Journal Title: 土木学会第60回年次学術講演会第V部門講演概要集 V-523 Pages: 1045-1046
• [Journal Article] 先行ひび割れを有する梁部材における埋込み形デバイスの効果 (2005)
  • Author(s): 佐藤雅義, 田中泰司, 岸利治, 勝木太
  • Journal Title: 土木学会第60回年次学術講演会第V部門講演概要集 V-535 Pages: 1069-1070
• [Journal Article] 人工亀裂を有するRC部材のせん断耐力増進機構の実験的検討 (2005)
  • Author(s): 田中泰司, 岸利治, 前川宏一
  • Journal Title: 土木学会論文集 No.802/V-69 Pages: 109-122
  • NAID: 10016726191
• [Journal Article] 人工亀裂や無付着領域を含むRC部材が発現するタイドアーチ機構とせん断耐力評価法 (2005)
  • Author(s): 田中泰司, 岸利治, 前川宏一
  • Journal Title: 土木学会論文集 No.788/V-67 Pages: 175-193
  • NAID: 10014337103
• [Journal Article] 曲げせん断力を受けるRC部材の人工亀裂装置とせん断補強の併用効果 (2005)
  • Author(s): 田中泰司, 岸利治, 前川宏一
  • Journal Title: コンクリート工学年次論文集 Vol.27, No.2 Pages: 349-354
• [Journal Article] 人工亀裂や無付着領域を含むRC部材のせん断耐力評価法 (2005)
  • Author(s): 田中泰司, 岸 利治
  • Journal Title: 生産研究 第57巻第2号 Pages: 107-110
  • NAID: 110001132075
• [Journal Article] せん断補強筋のないRC部材におけるせん断ひび割れ以降の耐力評価法 (2004)
  • Author(s): 田中泰司, 岸 利治, 前川宏一
  • Journal Title: コンクリート工学年次論文集 Vol.26,No.2 Pages: 949-954