Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は事例に基づく識別技術の基盤である「最近傍識別器」を高速化するとともに、コンピュータビジョンをはじめとする実用分野への応用の可能性を広げることである。平成16年度には、基礎となる最近傍識別アルゴリズムについて、20次元までの特徴空間までに対して高速化、省メモリ化を実現する「K-D Decision Treeアルゴリズム」を提案した。また、画像中の各画素の色を識別することによって、ターゲット検出を実時間で実現した。また、領域単位の識別を実時間で行う「4分木表現を用いた高速領域識別」を提案し、画素単位、領域単位の識別を実時間で行う応用を示した。平成17年度は、さらにコンピュータビジョンの一般的な応用に必要は数百次元から数万次元の特徴に対して、擬似的な最近傍識別器を高速化する「近さ優先探索グラフ」を開発し、またその応用として、対象の認識、追跡を実時間で同時に実現するシステムを開発した。また、高次元において、近似なしで最近傍探索、識別を高速化するためのアルゴリズムとして、「効率的な距離計算戦略による高次元最近傍探索」及び「空間分割と直交変換の統合による高次元最近傍探索」を開発した。また最近傍探索、識別技術の応用として、前年度に開発したターゲット検出の技術を用いた「マーカ追跡」を使ったカメラキャリブレーション手法を開発し、基礎技術としての最近傍識別器を実用的なツールとして利用する可能性を示した。また、本テーマで開発しているK-D Decision Treeや、空間分割型の最近傍探索アルゴリズムと同様の探索原理を用いた非線形写像学習アルゴリズムである「PaLM tree」を開発し、ロボット制御への応用について検討した。最終年度となる平成18年度は、高次元空間における最近傍探索、識別のさらなる高速化について検討をすすめ、数万次元の一般の画像データにたいして、近似をおこなうことなく従来の約20倍高速に探索する「主成分木を用いた高速最近傍探索手法」を開発した.また、正常事例のみが得られ、異常事例が得られない場合における識別器の学習方法やそれを応用した異常検知について検討した.さらにテキストマイニングなどのほかの応用についても検討した.社会的な必要性が高い分野での応用や実用的なアプリケーションの開発について検討していく予定である。本研究では、研究テーマである20次元までのデータに対する最近傍識別では従来の約200倍の高速化に成功し、また数万次元の画像の最近傍探索については従来法の約20倍を実現した.また、応用分野についてもコンピュータビジョン、ロボティクス、テキストマイニング、異常検出などへの応用を実現し、本テーマで得られた技術の可能性を示した.
All 2007 2006 2005 2004
All Journal Article (22 results)
信学技報,PRMU2006-203
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