ストレスステロイドが海馬神経の損傷を引き起こす機構の解明
Project/Area Number |
16700284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木本 哲也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60292843)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | ストレス / ニューロステロイド / エストロゲン / 海馬 / コルチコステロン / ストレスステロイド |
Research Abstract |
本研究は、ストレスの影響を大きく受ける記憶学習機能を司り、ストレスステロイドの主要な標的である海馬において、海馬自身で合成されるニューロステロイドとしてのエストロゲンとその作用部位であるエストロゲン受容体を中心に、ストレスによる神経細胞損傷に関する防御機構の解明を目指すものである。本年度は、まず昨年度に発見したラット海馬神経細胞への17β-エストラジオールの投与によるα型エストロゲン受容体(ERα)の移動について更に追求し、ERαは特にポストシナプスでpostsynaptic density(PSD)に移行していることを解明した。ERαはheat-shock proteinと相互作用することから、ストレス負荷時における損傷から神経細胞を保護する際に関与していることが示唆された。また、海馬に17β-エストラジオールを投与するとシナプス蛋白質が顕著に増加するとともに、NMDA受容体の特定のサブタイプが特異的に増加することを発見した。17β-エストラジオールは海馬神経細胞のスパイン密度及びその形態をNMDA受容体を介したカルシウム依存的に制御することから、これらの蛋白質の変化はスパイン形成において重要な役割を担っているものと考えられる。ストレスを負荷したラットでは海馬でのERαの発現に減少が見られた、副腎を摘出してストレスステロイドの供給を遮断するとこの減少の割合が抑制された。これより、脳でのERαの発現制御には末梢から供給されるストレスステロイドが関与していることが示唆された。一方で抑制は完全ではなかったことから、末梢由来のストレスステロイドのみならず、昨年度に実証した脳自体で合成されているグルココルチコイド(コルチコステロン)も一定の役割を担っているのではないかと思われる。また、精巣を摘出して末梢からのアンドロゲンの供給を遮断すると、海馬におけるグルココルチコイド受容体の発現量が減少した。エストロゲンとともに擬似エストロゲンであるビスフェノールA(BPA)の効果も検討し、BPAは海馬神経細胞で細胞内カルシウム信号を発生させるとともに、スパインの密度・形態を変化させることを見出した。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)