カルシウムシグナルによる神経成長円錐の動態制御機構の解析
Project/Area Number |
16700297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戸島 拓郎 独立行政法人理化学研究所, 神経成長機構研究チーム, 基礎科学特別研究員 (00373332)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 神経成長円錐 / カルシウム / 微小管 / 膜小胞輸送 / 開口放出 / VAMP2 / FM1-43 / ケージド化合物光解離法 / アクチン後方移動 / 神経接着分子 / 分子クラッチ / 蛍光スペックル顕微鏡法 / 光ピンセット法 |
Research Abstract |
神経系の発生過程において神経軸索先端部に現れる成長円錐は,多くの場合外界環境受容に伴うカルシウムシグナルによりその移動方向を転換させ,軸索を遠隔の標的へと牽引する。成長円錐の移動速度を規定する素要因は,(1)アクチン後方移動の速度,(2)アクチン線維-接着分子間クラッチの結合効率,(3)エンドサイトーシスされた接着分子/膜小胞のリサイクル速度・効率,の3点に要約される。すなわち成長円錐の旋回運動(誘引・反発)は,カルシウムシグナルが上記3要因のいずれかに変化を誘発し,その結果として成長円錐の左右で移動速度の非対称が生じた結果として説明できる。平成16年度は要因(1)と(2)を検証し,そのどちらも旋回運動に寄与しないことを明らかにした。 平成17年度は,要因(3)を検証した。蛍光色素FM1-43を用いてエンドサイトーシスされた膜小胞を可視化した上で,ケージド化合物光解離法により成長円錐局所カルシウムシグナルを誘発した。その結果,成長円錐の誘引性旋回を引き起こすカルシウムシグナルに応じて膜小胞が成長円錐周辺部に選択的に輸送されることが明らかになった。この順行性膜輸送は微小管の動態を阻害することで消失した。さらに,pH感受性GFPを付加したVAMP2遺伝子を導入して,成長円錐周辺部に輸送された膜小胞の開口放出を可視化した。その結果,誘引性旋回を引き起こすカルシウムシグナルに応じた形質膜の再挿入が,成長円錐周辺部において誘発されることが明らかになった。 以上の結果から,成長円錐の誘引性旋回運動を司る主要因は,カルシウムシグナルにより誘発される微小管依存性膜小胞輸送効率の変化(要因(3))であることが明らかになった。成長円錐周辺部に選択的に輸送された膜小胞が形質膜に再挿入されると成長円錐形質膜面積の左右差が生じ,それが一因となって成長円錐全体は旋回運動を呈すると考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)