Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
超高圧法により調製された超分子集合体のバイオマテリアル分野への応用展開を目的とし、本手法の構造形成のメカニズムを解析した。また広範囲な水溶性化合物の構造化に適応可能であるかを検討するために、合成高分子と天然高分子(多糖、核酸など)の違いについても注目し、さらに媒体中に無機塩や有機溶媒を添加することで、溶解性のパラメーターを考慮し、構造化のメカニズムについて考察した。ポリビニルアルコール(PVA;重合度1700、けん化度(水酸基含有率)99.9%)水溶液を所定条件下で圧力処理した場合、6000atm以上において溶液の白濁化が確認でき、PVA溶液濃度が5w/v%以上において成形性の優れた白色のヒドロゲルが得られた。処理時間5分以上においてほぼ一定の膨潤度を示し、膨潤度はPVA濃度に依存した。PVA濃度が1w/v%未満の希薄状態においては、単分散なナノオーダーサイズ(200〜400nm)の粒子形成が確認された。また溶媒に無機塩を添加してPVA水溶液の圧力処理を検討した結果、無機塩濃度の増加に伴い、より低圧力条件下での構造化が確認された。また水と相溶性な有機溶媒を添加した場合にも同様の知見を得た。これは無機塩や有機溶媒を添加することで、溶質の溶媒和が変化し、構造化の処理条件および構造体の形態に影響すると考えられる。また溶質であるPVAの分子量、けん化度および立体構造などの連鎖構造の違いにより圧力処理などの構造化条件が異なり、分子内(間)の水素結合および疎水性相互作用の関与が示唆された。さらに超高圧調製時にモデル薬物として、色素(トリパンブルー)およびDNA(サケ精巣由来)を添加した場合、複合化が確認された。それぞれのドラッグデリバリー担体としての応用展開が示唆された。