Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
Heat shock protein (HSP) 70は,アミノ酸の新生ポリペプチド鎖の伸長と正しい折り畳みを介助する分子シャペロン機能があり,熱刺激によって筋細胞内にHSP70を多量に誘導できれば,結果的にタンパク質合成が促進され,筋萎縮の予防にも効果が期待できる.そこで,ラットを用い1週間の後肢懸垂(HS)よって遅筋線維であるヒラメ筋と速筋線維である長指伸筋に廃用性筋萎縮を惹起し,その過程で毎日60分問,42℃の温水浴によって後肢に熱刺激を負荷し,廃用性筋萎縮の進行抑制効果を筋線維タイプ別に検討した.その結果,熱刺激は筋細胞内でのHSP70の誘導を促進し,遅筋線維のタイプI線維,遅筋・速筋線維の中間型であるタイプIIA線維の廃用性筋萎縮の進行抑制に効果があるが,速筋線維のタイプIIB線維のそれには効果が得にくいことが明らかとなった.一方,熱刺激の負荷によるHSP70の効果を臨床応用するとなれば,その誘導方法に検討の余地を残していた.つまり,高齢や臥床中の症例に温水浴や先行研究にある全身加温を適用することは難しく,局所的に骨格筋を熱刺激する方法の効果を明らかにする必要があった.そこで,ラットを用い1週間のHSの過程で毎日60分間,42℃の温水浴によって熱刺激を負荷する温水浴群と同条件のもとに電気熱プレートで熱刺激を負荷するプレート群のヒラメ筋の廃用性筋萎縮の進行抑制効果を比較検討した.実験開始時の体重と終了時の体重を比較すると温水浴群のみ顕著に減少し,ヒラメ筋の相対重量比やタイプI・II線維の筋線維径は温水浴群,プレート群ともにHSのみの群(HS群)より有意に高値で,プレート群のタイプI線維の筋線維径は温水浴群のそれより有意に高値であった.また,HSP70含有量は温水浴群,プレート群ともにHS群より有意に高値で,この2群間には有意差を認めなかった。したがって,電気熱プレートといった局所的な熱刺激の負荷方法でも,骨格筋にHSP70を誘導でき,全身への影響を考えると臨床上有用と考えられた.
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